翻訳チェック/レビューの仕事

翻訳会社には社内翻訳者として就職しましたが、実際には自分で翻訳するよりも他の人が訳したものをチェックする仕事の方が多かったです。この会社ではその作業を「エディット」と呼び、私もエディターと呼ばれていました。フリーランスになってからも、チェックあるいはレビューの仕事は頼まれればやることがありますが、「よくこの出来で平気で納品してくるな〜」というのがしょっちゅうなのはなぜでしょうか?
よく、チェックの仕事は勉強になるからと翻訳者見習いの人にやらせたりするそうですが、翻訳会社時代、私がチェックする訳文はどういうわけか誤訳が多くて、そうでなくても直訳調が続くのて修正が大変でした。翻訳業界に転職したばかりの自分が見てもそんな感じなので、勉強になるどころではなかったです。こんなもんでもやっていけるんだ、というのが分かったのは収穫でした。そんな低いレベルで満足していてはいけないんですが……。翻訳会社がクライアントに提出する訳文として妥当かどうかを判断するには、チェッカーが翻訳者と同等かそれ以上の力量を持っていなければならないと思います。ただ、これは私がかかわっているローカライズに限ったことで、他の分野では、翻訳者が最終的に訳文に対する責任を持つから、チェッカーは数字の間違いなど単純ミスだけ見つければ良いということになっているかもしれません。
ストレスはたまりますが、レビューの仕事にもメリットはあって、それはソフトウェアなりドキュメントなりの完成に近いところまで携わることができるという点です。最近のローカライズの仕事では、ドキュメント1冊を数人で分担して訳すことが当たり前で、説明している製品がどういうものかを理解しないうちに終わってしまうことがありますが、レビューの仕事ならばたいていは1冊丸ごと一人でレビューしますし、ソフトウェアのベータ版を操作させてもらえることもあります。文章で書かれた説明がひどく抽象的で、さっぱり意味がつかめないときも、実際のソフトウェア製品を見ていれば何を指しているのかがすぐに理解できるということがよくあります。また、他人がミスしやすいところが分かるので、自分が翻訳するときも注意を払うようになります。