「たりたり」を使用しない、とわざわざ規定している翻訳スタイルガイドをどこかで見かけたことがあります。何で禁止しているか理由は忘れましたが、そうやって制約を増やすほど訳文がぎくしゃくして意味が不明になるような気がします。私は「たりたり」を禁止すべきとは思いませんので使いますが、1つの文に「たり」が1つしかないのは誤りだと思います。これは別に誤りではないという説もどこかで見かけましたが、忘れました。
カスタム コマンド バー コントロールに関する状況依存のヘルプを表示させたり、ツール バー ボタンまたはメニュー項目をユーザーがクリックしたときに、標準のヘルプを表示させることができます。
という文章がありますが、「たり」は1つしかありませんね。読者は、「表示させたり」と並列に扱う何かが来ると期待するのに、来ないまま終わってしまっています。点の打ち方がまずいので、「ユーザーが状況依存のヘルプを表示させたときやツールバーボタンをクリックしたときに、標準のヘルプを表示できます」とも解釈されかねません。
私なら、
カスタム コマンド バー コントロールに関する状況依存のヘルプを表示させることや、ツール バー ボタンまたはメニュー項目をユーザーがクリックしたときに標準のヘルプを表示させることができます。
と変更します。
ちなみに、明鏡国語辞典の「たり〔接助〕」の「語法」の項には
「たり」を繰り返す形が規範的。「× 騒いだり器物を破損した人は罰せられます」→「○ 騒いだり器物を破損したりした人は罰せられます」
という記述があります。