IT翻訳者の疑問

この業界に入って約20年。私の疑問は相変わらず解決しません。

UI翻訳のスピード

翻訳会社の人から「UI翻訳は一日に何ワードできますか」と聞かれたのですが、UI翻訳というのがソフトウェアのストリングを翻訳することを指しているとしたら、スピードをワード数で計ることは無理なんじゃないでしょうか?
「File」という単語1語だけのストリングは、ほとんどの場合「ファイル」と訳すしかないのでそれ以上追究しませんが、「Store」1語のストリングが「格納する」あるいは「ストアする」「保存する」といった動詞なのか、「店」という意味の名詞なのかは、見ただけではわかりません。前後の関係で判断するとか、後で翻訳するであろうヘルプテキストでその項目の説明を探すとか(同時に支給されていれば)、ベータ版のソフトウェアを実行してみるとか、確認の方法はいろいろですが、それだけやって1ワード分の報酬(せいぜい10何円ですよ)しかもらえないのでは割に合いません。というわけで、在宅フリーランスになってからはUI翻訳の仕事を受注したことはありませんので、1日にできるワード数の統計も取っていません。
翻訳会社の担当者が“できる”PM(Project Manager)ならば、ソフトウェアはこういう製品で、こういう作業条件でやりますというのを事前にきちんと説明してくれるのですが、ただクライアントから受け取ったファイルをそのままばらまく人もいないとは言えず、うっかりそういう仕事を受注してしまうと大変なことになります。