IT翻訳者の疑問

この業界に入って約20年。私の疑問は相変わらず解決しません。

ローカライズの範囲

マイクロソフトの「Excel の達人が教えるクールな Excel のヒント」
http://office.microsoft.com/ja-jp/assistance/HA010789811041.aspx
というWebサイトの「ドロップダウン ボックス : 長いリストと指の疲れから解放されるには」の項で、例を挙げてドロップダウンボックスの使い方を説明しているのですが、その例というのが「パーティに招待した客の食事制限」で、一覧表の名前の横に「グルテンアレルギー」だの「ピーナッツアレルギー」だのと書かれていいて、その中に「コーシャ」というのがあります。これって、ユダヤ教の掟に従って処理された食物ということでしょうか。
名前は日本人の名前ですが、食事制限が「コーシャ」ねえ…英語のWebページをそのまま日本語に訳したのでしょうか。国語辞典には載っていないので、なじみのある言葉とは思えないのですが。
ローカライズを手がけている翻訳会社のWebサイトなどを見ると、ただ翻訳するのではなく日本の文化を反映させますという謳い文句が書かれていますが、「コーシャ」のままで日本市場向けにローカライズしたと言えるのでしょうか。そんなのはクライアント側が考えることだ、という考え方もあります。Office Onlineのローカライズがどういう体制で行われているのかは知りませんが、英日のローカライズの仕事では、たまに「クライアントのチェックなし」という条件のものがあるようです。クライアント側には日本語のわかる担当者がいないというケースです。その場合は、「このままでは日本人向けとして不適切である」とベンダー(翻訳会社)側が進言しないとだれも気付きません。まあ、アメリカのものだったらそのままでも日本人は受け入れてしまいますが、仮に日→英だったら、アメリカ向けのアレンジはいろいろ必要なのではないかと思います。「そばアレルギー」とか「納豆が嫌い」とか、そのまま英語にするわけにいかないでしょうから。
それはともかくとして、16人の出席者がみな食事制限有りだと、招く側は大変ですね。いったいどういうメニューを用意したか、そっちの方が気になります。