「こなれた日本語」とは?

IT関連の翻訳といってもソフトウェアのマニュアルや技術解説記事ばかりではなくて、読み物っぽい文章もあります。「こなれた日本語を書ける」という翻訳者が訳したものをレビューすることになったのですが、日本語訳だけを見ると自分では思いつかないような表現が随所にあって感嘆してしまいます。で、原文と突き合わせてみると、なんか違う。元の文章にはそんなこと書かれていないのに脚色してしまっていたり、話の方向がずれてしまっていたり。
どうも、「こなれた日本語で」と注文されたので、文章をきれいにまとめる方に意識が向くのか、原文を十分読み込まずに作文を始めてしまっているようです。このような経験は過去にもあるのですが、そのときは、ある企業が時間をかけて地元の人たちと交流を深めていったという話で使われていたover timeという言葉が、なぜか「残業時間で」と訳されていました。その企業の社員たちは毎日の仕事が終わったあとで交流活動をしていた、という話になってしまっていたのです。
そんな出来で納品せざるを得ない理由もあると思うので(たとえば普通のマニュアルと同じレートで1日2,000ワード訳すことになっていたとか)、翻訳者本人にきついことは言えないのですが、この状態でクライアントに見せるわけにはいかないので、翻訳しなおしです。いつも思うのですが、「こなれた日本語」ってどういうものを指すのでしょう?