日本語の文章で丸かっこを使うのはどのようなときかといえば、
丸カッコは、文中で補足、注釈、言い換えをするときに使います。
出典:わかりやすいマニュアルを作る 文章・用字用語ハンドブック
となっています。つまり、
ファイルを保存するには、「保存」コマンド(「ファイル」メニューの「保存」)を使用します。
のような場合に使うのですが、文章全体を丸かっこで囲むというのは有りなんでしょうか。たとえば、
a. ファイルを保存するには、「ファイル」メニューの「保存」を選択します。(ショートカットキーを使用する場合はCtrl + Sを押します。)ファイルを別の名前で保存することもできます。
という書き方です。この間プルーフリーディングしていた訳文にこのパターンの表記が頻出していて、旧バージョンでも使われていたので、容認されているようなのですが。なんでこうなるかといえば、原文(英語)のかっこの位置に合わせたからですね。
自分が翻訳・レビューするときは、
b. ファイルを保存するには、「ファイル」メニューの「保存」を選択します(ショートカットキーを使用する場合はCtrl + Sを押します)。ファイルを別の名前で保存することもできます。
のように移動してしまいますが、これはこれで翻訳メモリのリサイクル性に問題が出ます。なぜなら、文脈によっては
ファイルを保存するには、「ファイル」メニューの「保存」を選択します。ファイルを別の名前で保存することもできます。
のようにかっこ付きの補足がないこともあるので、そうなると、原文は同じでも“ファイルを保存するには、「ファイル」メニューの「保存」を選択します”と“ファイルを保存するには、「ファイル」メニューの「保存」を選択します。”の2パターンの訳文が存在することになるからです。
クライアントから支給されるスタイルガイドには、「文章を囲むかっこはなるべく外す」という指示が書かれていることもあります。つまり、
c. ファイルを保存するには、「ファイル」メニューの「保存」を選択します。ショートカットキーを使用する場合はCtrl + Sを押します。ファイルを別の名前で保存することもできます。
のようにするわけですが、強制ではなく「なるべく」だし、外すと補足の意味が伝わらなくなってしまうので、かっこを削除してしまうのもためらわれます。
結局、プルーフリーディングのときは、量が多く修正している時間がなかったので、a.のまま放置してしまいました。