JTF翻訳祭

講演とパネルディスカッションを聞いてきました。私にとって特に目新しい話というのはこれといってなかったのですが、一つ印象的だったのは、アンゼ たかし氏(映像翻訳者)のお話にあった「世界各国で公開される映画のスクリプトには、固有名詞の説明や、theyなどの代名詞が何を指しているかといった説明が付記されている」ということでした。私がふだんかかわっているローカライズの仕事も、多言語で同時進行していることが多いのですが、ローカライズしやすいように資料や情報が整備されていることは多いとは言えません。原語のファイルと中途半端な用語集だけ渡されて、見たこともない画面のレイアウトを「推理」しながら訳すというのを他の言語の翻訳者もやっていると考えると、全世界で無駄な作業をしているものだと思います(そんなことを気にするのは日本人だけかもしれませんが)。
ふだんの仕事に最も関連が深いのは、最後のマーク・アタウェイ氏の講演でしたが、翻訳者って本当に期待されているのかなあと思いました。他の分野と違って、翻訳者が最後まで責任を持つようになっていないし。それがつまらないので、私は一次翻訳だけではなく、他の人が訳したものをレビューする仕事も引き受けるようにしているわけですが、その場合でも、自分が納品したものがその後どうなったか、全然教えてもらないこともあります。それはともかくとして、やや早口ながらも聞きやすく、時間どおりにぴったり終わらせたプレゼン能力はさすがだと思いました。
一方で、なんだかなあと思ったのは、講演やパネルディスカッションの後の質疑応答の時間で、質問する方々が「本日は、ためになるお話をお聞かせいただいて、ありがとうございました」などと述べてから質問に入っていたことです。時間も限られていることだし、前振りなしで質問に入ればいいと思うのですが、それだと無礼に当たるのでしょうか。