ヘルプの翻訳の仕事を引き受けたときにもらった指示ですが、どこが謎なんだと言われるかもしれません。ではUIってなんでしょう? と質問すると馬鹿にされるだろうから質問しませんが、ユーザーの目に触れる文字列ですよね。まず考えられるのはソフトウェアのGUIのメニュー名やボタン名ですが、ボタンをクリックした結果表示されるエラーメッセージなどもUIです。さらには、ログファイルに出力されるテキストや、管理用画面に表示される各種オブジェクト名などもUIと言えます。そのような日本語化されるリソースは、別途UI辞書やリソースファイルの形で支給されるので、そのファイルにあれば日本語化されるのだと判断するわけです。
が、今回の仕事ではそのUI辞書がないにもかかわらず、日本語に訳すのだそうです。
「ファイル」メニューの「印刷」をクリックしてください。
といった文章の「」の中を日本語に訳すのですが、これって実際のソフトウェアと一致していなかったら意味がないではありませんか。実際のソフトウェアでは「印刷」ではなくて「プリント」かもしれないし。翻訳の後の工程で何らかのチェック(たとえば実機との突き合わせ)をかけるのかもしれませんが、後の工程で何をするかを教えてもらえることはほとんどありません。ですので、私にとって、UI辞書なしでUIを日本語に訳せという指示は謎でしかありません。他のプロジェクトだと、「日本語訳が不明なUIは、クライアント側で確認するので英ママで残してください」などと言われるのですが。