「〜したい場合があります」

IT翻訳の仕事をしているとしょっちゅう見かける表現です。原文に何と書いてあったかすぐにわかってしまいますね。

ページ サイズを変更する
作成したニュースレターをコピーして配布したい場合があります。ニュースレターの作成時に用紙サイズを選択していなかった場合は、[文書の書式設定] 作業ウィンドウの [<文書の種類> のオプション] をクリックし [ページ サイズの変更] をクリックし、目的のページ サイズと余白ガイドを選択します。
出典:http://office.microsoft.com/ja-jp/publisher/HA101004921041.aspx

段落の最初の文章で、「作成したニュースレターをコピーして配布したい場合があります。」と言われても。「したい」というのは非常に個人的な感情で、口に出して言わない限り他の人からはわからないのですが、この文章は誰が「したい」のかがわからないので唐突な印象を受けます。
英語では、

Change the page size
After you create your newsletter, you may want to print it so that you can hand out copies at your business. Did you select the paper size that you wanted when you created the newsletter? If not, in the Format Publication task pane, click Change Page Size, and then select the page size and margin guides that you want.
出典:http://office.microsoft.com/en-us/publisher/HA101004921033.aspx

です。you may wantの訳し方は確かにやっかいですが、mayは「〜場合があります」でwantは「〜したい」、だから「〜したい場合があります」という直訳はどうかと思います。「したい」と思っているのは誰なんでしょう? 「このソフトウェアを使ってニュースレターを作った人のなかには、印刷して営業用に配布したいという人もいるでしょう」といった意味ですよね。この手の文章でyou may wantが使われているときは、to以下のやりかたを次の文章以降で説明していることが多いので、「作成したニュースレターをコピーして配布するには、どうすればよいでしょうか。」と訳すことも考えられます。別に、you may wantの訳し方を統一する必要はないので。
ところで、「コピーして配布」というと、一般的には複写機でコピーすることを指しませんか? なんでprintの訳が省略されているんでしょう?*1 copiesは「コピーしたもの」とは限りません。たとえば出版物の「3,000部」は3,000 copiesです。copiesの作り方はどうでもいいのですが、この段落で言いたいのは、印刷前に用紙のサイズを設定できるということですよね?

*1:翻訳時の原文がここで取り上げたのとは違っている可能性もありますが。