「最高技術責任者からの非常にインパクトのある機能」

Microsoft TechNetのセキュリティ管理コラムの1月分「セキュリティで保護されたモバイル アプリケーション – 矛盾した表現?」の一部です。前後もあわせて引用します。

両方のケースで、多くの場合、セキュリティについての特徴のない単調な野暮ったい考慮点のための時間やお金はほとんどありません。セキュリティについての考慮点は、チェックブックとペンに手をのばさせるような、最高技術責任者からの非常にインパクトのある機能やエキサイティングなユーザー インターフェイスの影に紛れたままとなっています。

一体何が言いたいのか今ひとつよくわかりません。もっとも、私がレビューしている訳文はもっとすごいですが。
英語版では

In both cases, there is often little time or money available for the featureless, drab, and un-cool consideration of security. Security considerations are left to lurk unseen in the shadows of high impact features and exciting user interfaces that bring coos and gasps from the chief technology officer, prompting a reach for the check-book and pen.

と書かれています。つまり、「CTO(最高技術責任者)をアッと言わせ、思わず小切手帳とペンを手に取らせるような、インパクトの強い機能やエキサイティングなUI」ということですね。check-book and penは予算を指しているのだと思いますが、その予算をもらうためのプレゼンテーションでは目に見える機能やUIが強調されるけれども、セキュリティという地味な部分にはなかなか目が向けられないと言いたいのではないでしょうか。
現在私がかかわっているプロジェクトでは、レビューが一段落したらフィードバックを書かなければならないのですが、問題のある訳文と原文とを抜き出してみると、文章単体ではそんなにおかしくないように見えるのです。けれども、前後の文章と合わせて見るとつながりがおかしい。想像ですが、Tradosを使う仕事なので、訳した人は開いたセグメントしか見ていないのだと思います。原文のこの単語を訳文のどこかに当てはめなければと奮闘し、意味のよく分からない単語は無視して、文章の形になったところでセグメントを閉じ、次のセグメントを開く。省略できる言葉も省略せずに訳出しているから文章がまどろっこしくなるし、原文の主語をそのまま訳文でも主語にしていたりするから、その文章で何を強調したいかが伝わらないことがあります。
このセキュリティコラムでも、「チェックブック」がカタカナなのは意図的なのかもしれませんが、他にも「長いリスト」だの「ビジネスのスタートアップ」だの、何を指しているのかが想像できないのでカタカナ語で逃げたように思われる訳が散見されます。そんなに難しい内容ではないのだから、前後の文章も合わせて、ある程度の勢いをつけて原文を読めば状況が頭の中に浮かぶはずです。