「場合は、」と「場合、」(続き)

「家庭のシステムがハイジャックされないようにするためのヒント」というWebページ(http://www.microsoft.com/japan/athome/security/online/homewireless.mspx)の「ワイヤレス ネットワークを保護するためのヒント」の一つです。

暗号化を使用できない場合、財務情報など重要な情報をインターネット経由で送信する際には、ネットワーク ケーブルでワイヤレス アクセス ポイントに接続します。

ここでも「場合」の後の助詞が省略されています。英語(http://www.microsoft.com/athome/security/online/homewireless.mspx)では

If you are unable to use encryption, connect to your wireless access point with a network cable when sending financial or other critical information over the Internet.

となっています。
「暗号化を使用できない場合」の後に「は」を入れると、その後の「送信する際には」にも「は」があるのでちょっと不自然になってしまいます。私ならば

暗号化を使用できない場合に、お金が関係するような重要な情報をインターネット経由で送信するときは、ネットワーク ケーブルを使ってワイヤレス アクセス ポイントに接続します。

などと修正します。
英文のIf節の終わりのカンマに合わせて点を打ったというのはわかりますが、英語と違って日本語は助詞を使って文章を組み立てていく言語なので、あまり省くと文章の構造がわからなくなってしまいます。上記の例文でも、「暗号化を使用できない場合」と「財務情報など重要な情報をインターネット経由で送信する際」は並列関係にあるのかと解釈されるかもしれません。
以下、『日本語の作文技術 (朝日文庫)』第六章「助詞の使い方」からの引用です。

(助動詞の役割は文字通り補助的であるが)助詞の方は文章全体の構造を支配するきわめて重大な役割を演ずる。膠着語の統語法の根幹をなす品詞である。(その意味では助詞というより幹詞とでもいうべきかもしれない。)したがってこれを作文技術の上でとくに重視せざるを得ないのも当然である。日本語を正確に使いこなせるかどうかは、助詞を使いこなせるかどうかにかかっているといっても過言ではないだろう。
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