IT翻訳者の疑問

この業界に入って約20年。私の疑問は相変わらず解決しません。

マウスボタンを「放す」か「離す」か

「はなす」を変換したときに表示されるATOKの同音語使い分け情報では、

放す…束縛していたり、管理していたものを自由にする
離す…くっついていたものを分ける。また、遠ざける。

となっており、用例として「ハンドルから手を放す」「手が離せない仕事」などが挙げられています。
’05-’06年版 朝日新聞の用語の手引』でも

放す…〔解放、放棄〕
離す…〔距離関係、分離〕

となっており、用例として「鳥を放す」「握った手を離す」「もう君を離さない」などが挙げられています。
マウスボタンの場合は、押さえつけていたものをreleaseするのだから「放す」だと思いますが、「離す」も結構使われています。あるソースクライアントのスタイルガイドでも、はっきりとではありませんが「離す」が用例として使われています。そのせいか、翻訳メモリの中の訳も「離す」ばかりです。
ちなみに、明鏡国語辞典の「離す」の項には

②握っていたものを握っていない状態にする。つかんでいたのをやめる。 「ハンドルから手を―」「つないだ手を―」

と書かれていました。うーん。