IT翻訳者の疑問

この業界に入って約20年。私の疑問は相変わらず解決しません。

「ため、」と「ために、」

10月25日に取り上げた文章の中で、もう一つ気になることがあります。

過去の見識では、脅威を検出し、それに対する保護を行うため、複数の技術を層にすることにより、可能な限り境界を強化することでした。

このように、「、」で区切ってダラダラと文章を続けているので文章の構造がわかりにくくなっている訳文をよく見かけます。原文は

The wisdom of the past was to harden the perimeter as much as possible by layering multiple technologies to detect and protect against threat.

ですので、そのまま訳せば「かつては、脅威の検出と脅威に対する防御を行うために、テクノロジーを何層にも重ねて、できる限り境界を固めるのが良いこととされていた」ですね。
「保護を行うために、」ではなく「保護を行うため、」と助詞抜きで書く人が結構いるのですが、なぜでしょう? 文法的に間違いとはいいきれないのですが、日本語は助詞を使って他の言葉との関係を示すようになっているので、助詞を省くとなんだか文章がぐにゃぐにゃしているような感じがします。