抽象的な表現をどう訳すか

11月20日に取り上げたWebページの最初の方に出現する文章です。

ホスト項目には、Visual Studio Tools for Office ソリューションのコードにエントリ ポイントが用意されています。

アプリケーション レベルのアドインは、Microsoft.Office.Tools.AddIn ホスト項目を使用します。このホスト項目を使用して、ホスト アプリケーションのユーザー インターフェイスのカスタマイズに使用できるホスト アプリケーションとメンバのオブジェクト モデルにアクセスできます。詳細については、「AddIn」を参照してください。
出典:http://msdn2.microsoft.com/ja-jp/library/9z4e3456(VS.80).aspx

原文では次のように書かれています。

Host items provide an entry point for your code in Visual Studio Tools for Office solutions.

Application-level add-ins use the Microsoft.Office.Tools.AddIn host item. This host item provides access to the object model of the host application and members you can use to customize the user interface of the host application. For more information, see AddIn.
出典:http://msdn2.microsoft.com/en-us/library/9z4e3456(VS.80).aspx

どう解釈したらこういう文章になるのか、訳した人に聞いてみたいものです。provideを「用意されています」と訳すという“テクニック”はよく見かけますが、なぜhost items provideが「ホスト項目には、〜が用意されています」という受動態になるのでしょうか。provide an entry pointが抽象的すぎて、理解できなかったんでしょうね。翻訳者が理解できないのに読者が理解できるはずがありません。わからないまま文章をいじるぐらいなら、「ホスト項目は、Visual Studio Tools for Office ソリューションのコードのためのエントリ ポイントを提供します」と逐語訳しておけばいいのに。
確かに「Host items provide an entry point for your code in Visual Studio Tools for Office solutions.」だけではやや抽象的ですが、その次の段落で具体的に説明しているので、「ホスト項目=エントリポイント」ということになります。もしかしたら、これを訳した人は「次の段落で具体的に説明している」ことにも気付いていなかったのかもしれません。仮に同じWebページの中で具体的な言い換えがされていなくても、別のページにあるかもしれません。自分の担当外のところまで読んだりすると時間がかかるかもしれませんが、原文の意味を自分が明確に理解するという手間を惜しんではならないと思います。
わざわざ出来の悪い翻訳をつつかなくても、と言われそうですが、残念なことに、ふだんのレビューの仕事でもこの手の訳文には時々遭遇してしまうので、一言言いたくなりました。