「several」=「複数」なのはなぜ?

過去何度か取り上げたネタですが、納得いかないのでもう一度書きます。今日も、レビューの仕事をしていて、severalが「複数の」と訳されているのを見たのですが、どの人もこの人も「複数」と訳すのには何かわけがあるのでしょうか。たとえば「〜には複数の利点があります」といった具合です。クライアントからのフィードバックか何かで言われたことにずっと従っているのでしょうか?
研究社の英和中辞典には、「いくつかの,数名[数個,数度]の」という語義に続いて

a few よりは多く many よりも少ないという気持ちを表わし,おおむね 3,4,5 ぐらいの数を意味する

と書かれています。一方、「複数」の意味は「単数ではない」です。「several benefits」ならば、数がどうのというよりも、「いろいろの」という語義の方が当てはまると思います。

http://technet.microsoft.com/ja-jp/library/bb124405(EXCHG.80).aspxというページ(英語版:http://technet.microsoft.com/en-us/library/bb124405(EXCHG.80).aspx)でも「several」が「複数」と訳されています。

Exchange 2007 では、個々の受信者にメッセージを配信する方法に対して制限を設定できます。メッセージの配信制限は、すべての受信者の種類に適用され、また Exchange 2007 組織の特定の受信者へのアクセスを制御するのに便利なことがあります。たとえば、複数の組織では、一連の少数のユーザーのみが大きな配布グループにメッセージを送信できることを指定します。

Exchange 2007 allows you to place restrictions on how messages are delivered to individual recipients. Message delivery restrictions apply to all recipient types and can be useful for controlling access to specific recipients in your Exchange 2007 organization. For example, several organizations specify that only a small set of users can send messages to large distribution groups.

このWebページの訳は全体的にあまり良くないのですが、この「たとえば、複数の組織では」以降は誤訳に近いと言ってよいと思います。日本語訳を読んでイメージすることと原文を読んでイメージすることが違いすぎるので。「複数の組織では」を読んでまず頭に思い浮かんだのは、「2つの組織」でした。「組織が2つあるときは、一連の少数のユーザーのみが大きな配布グループにメッセージを送信できることを指定する」って意味不明ですね。直前のcan be usefulの具体的な説明なのだから、「大きな配布グループへのメッセージ送信を少数のユーザーのみに許可している組織も多い」という一般的なことを述べているのでしょう(該当する組織数が全世界で3〜5ぐらいということはないと思います)。「原文に忠実に、指示された訳語を使って訳す」のも結構ですが、読者が日本語訳だけを読んだときにどう解釈されるかを考え、その解釈が正しいことを確認するのも翻訳者の仕事です。