wouldの訳し方

On Windows XP, many users would run as administrator at all times, even when they performed routine, non-administrative tasks that did not require administrative privileges. The result was a vulnerability that could be exploited by malicious software.

出典:http://msdn.microsoft.com/en-us/library/bb385791.aspx

日本語版ではなぜか

Windows XP では、管理者特権を必要としない管理タスク以外の一般的なタスクを行う場合でも、複数のユーザーがいつでも管理者として実行できます。この点が悪質なソフトウェアからねらわれやすい脆弱性となっていました。

出典:http://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/bb385791.aspx

would runが「実行できます」と訳されています。この文章を翻訳した時点では原文がcan runだった可能性もないとはいえませんけど。ここでwouldが使われているのは「過去の習慣」を述べようとしているからですね。なので、「Windows XPでは多くのユーザーが、管理者特権を必要としない日常的なタスクもすべて管理者として実行していました」などと訳せばよいと思います。
よく、翻訳スタイルガイドでmustやmayやcanの訳し方が決められていることがありますが、それ以外の助動詞をどうしていいかわからなくなってしまう翻訳者がときどきいるようです。辞書や文法書で用法を確かめて訳を考えればいいのですが、それにしてもwouldが「できます」はないでしょう。ついでに、many usersが「複数のユーザー」になっているのも謎です。「manyということは1つではないから『複数』」という理屈は成り立ちません。「複数のユーザーがいつでも管理者として実行できます」では完全に誤訳ですが、Webで公開する前に誰か気が付かなかったのでしょうか?
普通は翻訳者が訳したものを翻訳会社がチェックしますが、翻訳会社によっては翻訳者未満のスキルしかない人にチェッカーをやらせているところもあって、そうなるとこの手のエラーは見抜けないかもしれません。その翻訳会社が二次請けだったりすると、一次ベンダーでチェックするだろうからということで手を抜くかもしれません。一次ベンダー側では「翻訳会社に発注したのだから」ということでフルレビューなどせず、サンプルチェックか、せいぜい日本語を読むだけでしょう。*1
だから翻訳者がしっかりしなければならないのですが、単価をはじめ、翻訳者がモチベーションを維持できない条件が揃ってしまっているかもしれません。そんなの言い訳にはなりませんけどね。

*1:念のため書いておきますが、ここで取り上げたマイクロソフトの文書がこういう体制で翻訳されているかどうかは知りません。