筋の通らない訳文

昨日に引き続き、「Windows Vista カーネルの内部」(http://www.microsoft.com/japan/technet/community/columns/secmgmt/sm0708.mspx、英語版はhttp://technet.microsoft.com/en-us/magazine/cc162458.aspxと思われます)からの引用です。

システムに対するカーネル レベルの変更に依存する分野は 3 つあります。そのため、この記事を詳しく調べるメリットがあります。この 3 つの分野とは、カーネル トランザクション マネージャ (KTM)、強化されたクラッシュ処理、および以前のバージョンです。

There are three areas that rely on kernel-level changes to the system and so merit a closer look in this article: Kernel Transaction Manager (KTM), improved crash handling, and Previous Versions.

「3 つあります。そのため、この記事を詳しく調べるメリットがあります」…さっぱりわけがわかりません。ふだん翻訳レビューの仕事をしていて思うのは、「その」という指示代名詞をよく使う人に限って「その」が何を指しているかあまり理解していないのではということですが、この訳文の「そのため」も、何を指しているのかを翻訳した人に聞いてみたいものですね。「この記事を詳しく調べるメリット」って誰にとってのメリットでしょう。「この記事は素晴らしいから、よく読めば読者の皆さんは得するはずです」ってことですか? 訳文だけを読んでなんか変だと感じたら、もう一度原文をよく読んで、自分の解釈が正しいかどうかを見直す必要があります。
so meritのsoがなんでsoなのか。この記事のタイトルが「Inside the Windows Vista Kernel」であることを考えればすぐにわかります。3つの分野は「rely on kernel-level changes to the system」だから、この記事(Inside the Windows Vista Kernel)で詳しく取り上げる価値があると。ですので、日本語に訳すときも「rely on kernel-level changes to the system and so merit」のつながりは生かさなくてはなりませんが、そうなると文章の組み立て方が難しいですね。「Kernel Transaction Manager (KTM)、improved crash handling、Previous Versionsの3つの分野はカーネルレベルのシステム変更によって実現したものなので、この記事で詳しく取り上げる価値がある」というのも変だし。

Windows Vistaの機能のうち3つの分野は、カーネルレベルのシステム変更によって実現したものであるため、この記事で詳しく取り上げる価値があります。その3つの分野とは、カーネル トランザクション マネージャ (KTM)、強化されたクラッシュ処理、および「以前のバージョン」です。

のように補足してしまったらまずいでしょうか。
ところで、英語では「Previous Versions」のようにキャピタライズするだけで固有名詞にできるのって、なんだか卑怯ですね。「プリビアスバージョン」のようにカタカナにしてしまえば専門用語っぽくなるのですが、「Previous Versions」はダイアログのタブ名らしいので、実際のUIの表記に合わせなければなりません。“以前のバージョン”が地の文に埋もれてしまわないように、かっこで囲んでおいたほうがよいと思います(この辺のかっこの使い方については、クライアントから支給される翻訳スタイルガイドでもあまり触れられていませんが)。