これにより

最近、翻訳レビューの仕事やTM(Translation Memory)の中でやたらと目にする「これにより」。数年前に比べてぐっと増えたような気がするのですが、なぜこんなに流行しているのでしょう。自分ではまず使いません。「より」を避けるようにしているので。「〜によって」の「よって」(手段・方法)の意味なのか、moreの意味の「より」なのかがあいまいになるという意見をどこかで見かけたからです。「この処理を実行するサーバーにより大きな負荷がかかると、システムがダウンする」といった具合ですね。
「これにより」を使うと何となく文章の形が整ったような気分になるのですが、あまり文章が長いと、「これにより」に対応する述語がどれであるかがわからなくなってしまうおそれがあります。

Solaris Volume Manager は、エンタープライズ・クラスの配備に適した堅牢なディスクおよびストレージ管理ソリューションです。 Solaris Volume Manager では、ストレージ要素をボリュームにプールしてから、アプリケーションに割り当てることで、冗長性とフェイルオーバー機能を実現します。これにより、バイスで障害が発生しても継続的なデータアクセスを提供できます。また、使いやすいインタフェースによって、多くの管理作業 (ボリュームの復旧やファイルシステム・サイズの拡張など) をオンラインで実行できるので、費用のかさむダウンタイムを最小限に抑えることができます。最新の Solaris Volume Manager は、数テラバイトのボリューム、およびクラスタ・ボリューム・マネージャがサポートされ、1 つの物理ディスクに数千のパーティションが作成可能になるなど、さらに改良されています。
出典:http://jp.sun.com/products/software/solaris/10/data_management.html

英語版はhttp://www.sun.com/software/solaris/data_management.jspと思われます(本当にこの英文から訳されたものかどうかはわかりません)。

Solaris Volume Manager is a robust disk and storage management solution suitable for enterprise-class deployment. It can be used to pool storage elements into volumes and allocate them to applications; redundancy and failover capabilities can help provide continuous data access even in the event of a device failure. With an easy-to-use interface, the software allows many operations―such as recovering volumes or expanding the size of a file system―to occur online, minimizing the need for costly downtime. Recent enhancements to Solaris Volume Manager include support for multiterabyte volumes, cluster volume manager, and thousands of partitions per physical disk.

日本語の文章の「これにより」の述語は「提供できます」ですが、その前に「発生しても」という用言があるので、「『これ』のせいでデバイスで障害が発生しても」と解釈されても文句は言えません。「ストレージ要素が冗長化され、フェイルオーバーが可能になるので、デバイスの障害が発生してもデータアクセスを続行できるようになります」ということですよね。
この文章に限らず、「これにより」が使われている文章を見ると「『これ』って何?」と聞きたくなるものが大半です。