IT翻訳と一般常識

1か月半も放置してしまいました。ネタはいろいろあるのですが、今まで書いてきたことと同じようなことの繰り返しになりそうで自分でもうんざりしてます。相変わらずホワイトペーパーとかケーススタディーとかの翻訳レビューをしてますが、レビューでは終わらず訳し直しになってしまうことがしょっちゅうです。マニュアル翻訳と同じ調子で、単語レベルで英語を日本語で置き換えて、あとは適当につないでいるのだから、できあがった文章が意味不明になるのも無理はありません。
キーワードさえ正しく訳されていれば読者は理解できるという説をどこかで見たことがありますが、そのキーワードというのがくせ者です。クライアントから支給された用語集の訳を使っていればOKでしょうか? この仕事で受け取る用語集って、文脈情報が書かれていないことが多いんですよね。たとえばimplementを「実装する」と訳せる場面は限られてくると思いますが、どういう場面かはお互い暗黙のうちに認識してるということになっています。しかしその認識がちょっとずれている。「全社的な計画を実装する」って変ですよ。「実行に移す」でしょう。いつだったか、医療機関でのIT活用という話の中でchartが「グラフ」と訳されているのを見ました。「このシステムの導入後は、医師が手書きでグラフを作ることはなくなった」って。この翻訳者は体温の折れ線グラフか何かを想像してたのでしょうか。リーダーズ英和辞典を引けばchartの語義の一つとして「【医】 病歴, カルテ」がありますが。
IT(Information Technology)というのは人間の暮らしを便利にするためにあるのだから、私たちが仕事で扱う文書の大半は人間の暮らしのどういう場面にITが利用されるかについて書かれています。なので、翻訳者としてはITの知識だけあれば十分というものでもありません。別に高度なビジネス知識が必要というわけではなくて、社会人としての一般常識があれば原文を理解して訳せると思うのですが、一般常識を身に着けるにはどうすればいいんでしょうねぇ。