思い込み

今週もレビューの仕事で「原文にはそう書いてあるかもしれないけど訳文だけ読むと意味不明」な訳文をたくさん目にしました。生抜きにZDNet Japanにアクセスしたら「イントラネットにTwitter:企業のための17のマイクロブログツール」という記事がありました。
その記事の冒頭の文章ですが、

 Twitterのバグを経験したことで、ソーシャルメッセージングツールを仕事の場に導入して、同僚とつながったり、便利に情報を共有するために使いたいと考えている人もいるだろう。すでに社内イントラネットマイクロブログを試しに使ってみる許可をもらっている人さえいるかもしれない。この記事では、社内ネットワークにソーシャルメッセージングを導入する方法について説明しよう。

Twitterのバグを経験したことで、ソーシャルメッセージングツールを使いたいと考えている人もいるだろう」って、論理が飛躍してませんか? 「Twitterのバグに懲りたのでTwitterではないツールを使いたい人」のことでしょうか。それとも「Twitterのバグ騒ぎでソーシャルメッセージングツールを知った人」のこととか?
原文(http://blogs.zdnet.com/Hinchcliffe/?p=414)にはこう書かれています。

So you’re bitten by the Twitter bug and want to bring the social messaging experience to work in order to connect with and share information conveniently amongst your colleagues. Perhaps you’ve even obtained permission to try out microblogging in trial form on your local intranet. You sit down and begin to see how you can adopt social messaging internally. It goes slowly at first…

Twitter bugがTwitterというソフトウェアの不具合のことだとしたら、その被害を受けることをbittenと表現するのでしょうか。この手のコラムには凝った表現がよく使われるので、普段見慣れない表現が出てきても無理はありませんが。でも英和辞典で「bug」を引いてみると

be bitten by the travel bug 旅行熱にとりつかれる.
(研究社 新英和中辞典 第6版)

という文例が載っています。つまり「Twitterを通してソーシャルメッセージングにはまったので仕事でも使いたい人もいるだろう」ということですね。
この種の思い込みは私もしたことがあります。訳文だけ読んでなんか変だったら、面倒でも原文に戻って語義を改めて調べなければなりませんね。今週レビューの仕事で見た訳はもっとすごくて、その翻訳者は主語+動詞を複合名詞と解釈して無理矢理文を組み立ててました。そんな名詞聞いたことないのでしばらく悩みましたよ。