Google Translator Toolkit

ちょっと暇だったので「Google Translator Toolkit」をいじってみました。危ないですねぇ。英文テキストのファイルをアップロードすると、TM(Translation Memory)からの流用(Exact Match)と機械翻訳によるpre-translationが行われて、その後で自分で訳文の追加や修正ができるのですが、デフォルトのTMが「Global, shared TM」なんですよね。つまり、Propertiesがデフォルトのままだと、自分の訳は自動的にユーザー全員と共有することになるわけです。いったんTMに登録したものを削除するしくみは見あたらないので、公開したくないものをうっかり公開してしまっても取り消すことはできません。その辺をユーザーに意識させるような作りになっていないので、せめてユーザーが使用しているTMが「Global, shared TM」であることを常時表示してほしいものです。できればプライベートのTMを使うのをデフォルトにして、翻訳が完成した時点で公開したければ「Global, shared TM」に追加するとか。
そもそも、「Global, shared TM」は誰のものになるのでしょうか。訳文は翻訳者が作ったものだとして、原文は誰かの著作物ですよね。その著作物をセンテンスごとにTMにコピーすることは許されるのでしょうか。
翻訳支援ツールとしての機能はTradosなどと比べるとかなり原始的なので、私自身がふだんの仕事に「Google Translator Toolkit」を使うことはありえませんが、「ネットワーク接続が可能ならば誰でもアクセスできる共有TM」というコンセプトは、うまく使えば翻訳業界にとってのメリットはあると思います。たとえば、法律文書などの定型的な文の訳を共有TM化するとか。以前、何かのサービスのTerms of Useの翻訳をしたことがありますが、その中の文を試しにGoogleで検索したらまったく同じ文がいくつもの企業のサイトに存在していたことがあります。英文のTerms of Useのテンプレートのようなものが存在しているとしたら、その日本語訳もどこかの共有TMに置いておけば、大勢の翻訳者が四苦八苦して(法律翻訳専門の翻訳者に発注されるとは限らないのです)いろいろな訳をひねり出す必要もないので。当然、だれが翻訳するか、誰がTMを管理するか、どんなプラットフォームを使うかといった問題はありますが、「一つの文の翻訳作業は一度だけ行う」というポリシーの下に省力化できる分野はITのマニュアル以外にもあると思います。