ふだん英日翻訳レビューの仕事をするときは、日本語訳だけを見て、引っかかったら原文とじっくり照らし合わせてチェックすることにしています。日本語が不自然な場合は、原文の解釈に無理があったり、訳語の選択が不適切だったりすることが多いので。でも、自然な日本語にするために「創作」しちゃう翻訳者もいるので、すんなり読めたから間違いがないとは限りませんが。
引っかかるパターンの筆頭は、「このソフトウェアは下記の機能を提供します」のような、いかにも英語を翻訳しましたという文章ですが、まだこれくらいならば何となく意味はわかるのでセーフといえばセーフです。問題は、一見日本語の文の形をしているけれども、一読しただけではさっぱり理解できないという文です。最初に主語があり、それに対応する述語が最後にあって、その間にいろいろな修飾語があるので結果として文が長くなっているような場合は、最後の述語を読むまでは話がどこに向かっているのかがわからないこともあります。
そういう文を読みやすく書くには何に注意すればよいかについて前から悩んでいましたが、「わかりやすい日本語で(Plain Japanese)」というメールマガジンの「着地点をイメージさせる」という記事に良い説明がありましたので、参考にさせていただこうと思います。
文の前半で結末(書く・書いた)を予想しやすい「予告」をしておけば、その内容(何を)をじっくり落ち着いて挟むことができるのです。
走高跳も棒高跳も、着地点が安全だとわかっているから挑めるのです。
電車でもバスでも行き先がわかっているから乗れるのです。
★着地点・行き先(→書く・書いた)を早い段階で読み手にイメージさせる重要性を意識しましょう。