あいまいな「〜することで〜ようにする」

せっかくなので、最近考えていたことを書き留めておきます。

衆議院議員選挙は終わったばかりですが、仮に立候補者がこう演説したら聴衆はどう受け取るでしょうか。

医療費を全額負担することで誰でも医療が受けられるようにします。

健康保険料の支払いもままならない人がいる昨今、「誰でも医療が受けられる」世の中は理想的ですね。でも、「医療費を全額負担することで」が「医療が受けられる」にかかるのと「ようにします」にかかるのでは大違いです。

  • (国が)医療費を全額負担することで、誰でも(医療費支払い能力のない人でも)医療が受けられるようにします。
  • 医療費を全額(自分で)負担することで誰でも、医療が受けられるようにします。

「医療費を負担する」「医療を受ける」「ようにする」という行為の主体があいまいなので、まずそれをはっきりさせるべきですね。聞き手はおそらく、自分にとって都合の良い「国が全額負担」と解釈するでしょうが、わけのわからないことを言う候補者がいるかもしれませんよ。


別の例として考えたのは、「公立小学校の先生のためのExcel講座」みたいなシチュエーションです。たとえば、クラス担任が自分のクラスの成績をExcelのブックに入力して学年会議に持ち寄るとします。成績が記録されているファイルなので、誰でも開くことができては困りますが、その解決方法としてはExcelの読み取りパスワードがあります。同じ学年の先生だけにパスワードを教えておけばよいのです。そのようにするための手順の説明の前振りとして、次のような文が考えられます。

  • パスワードを入力することで権限のある人だけがファイルを開けるようにします。
  • パスワードを設定することで権限のある人だけがファイルを開けるようにします。

違いは「入力」と「設定」だけですが、前者は「〜ことで」が「開ける」にかかり、後者は「ようにします」にかかっています。よく考えればどちらにかかるのはわかると思いますが、最初からわかりやすく説明すれば読者があれこれ考える必要はありません。

  • 権限のある人だけがパスワードを入力してファイルを開けるようにします。(「権限のある人だけが」が「ようにします」の主語のように見える?)
  • パスワードを設定しておくと、権限のある人だけがファイルを開けるようになります。
  • 権限のある人だけがファイルを開けるように、パスワードを設定します。