流れる文章の秘密

「実践!作文研究」というメールマガジンのバックナンバーに、参考になりそうな記述がありましたので引用させていただきます。

http://sakubun.jugyo.jp/magazine/265.html

メールマガジン「実践!作文研究」
 第265号 2005年3月6日発行

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流れる文章には秘密がある

          ロジカルスキル研究所 代表  倉島 保美
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(中略)

■既知から未知の流れ

その秘密とは、文の中で既知から未知への流れを作ることです。
既知の情報を文頭に、未知の情報は文末に置くという流れです。
これを守るだけで、あら不思議、文章の流れがぐっとよくなります。

既知の情報とは、読み手がすでに知っている情報およびその関連語
です。つまり、書き手がそれまでの文章で書いた情報とその関連語
です。たとえば、前の文やその前の文で、「パソコン」という言葉
を出せば、「パソコン」および、それに関連する情報(たとえばキ
ーボードなど)が既知の情報となります。

一方、未知の情報とは、読み手がまだ知らない情報です。つまり、
読み手が予想していない初出の単語です。

既知の情報は、読み手が心の準備をしているので、文頭でも違和感
なく受け入れられます。一方、未知の情報は心の準備をしていない
ので、文頭に来ると唐突な感じがしてしまいます。このため、既知
から未知の流れを守ると、文章の流れがよくなるのです。

わかりやすく説明するには既知→未知の順に述べるというルールは、日本語でも英語でも変わりはないということですね。

英文ライティングのルールの一つである「強調したいことを文末に置く」に関して、end focusというキーワードがあることを9月5日の日記(http://d.hatena.ne.jp/jacquelinet/20090905)に書きました。参考になる英語教育関係のWebサイトや論文などを見つけるのに役立つと思って紹介したのですが、「なんでもend focus論に基づいて訳そうとする人が出てくるのではないかという危惧を感じる」というコメントをいただいたのは全く予想外でした。「原則」なんだから100%当てはまるわけがないことは、改めて言うまでもありません。その危惧の理由というのが「ITの英語にはend focusが適用されないことが多い」だそうですが、どなたかこの説を裏づける情報をご存じないでしょうか。私自身はそんな統計を取ったことはありませんので。人それぞれの主張はあって良いと思いますが、「訳し方をこう変えるべき」という主張の裏づけが「個人の感覚」だけだと、ちょっと説得力に欠けるんですよね。
私がふだん英日翻訳の仕事で扱う文書のほとんどは、IT企業が外部に公開しているものです。ということは、おそらくプロのライターが書いたものですが、うまく書かれた文章は論理の流れが非常に明快で、読んでそのまま訳していけばあまり苦労せずに日本語にできます。一方、センテンスのつながりがぎくしゃくしていて、前から順に読んでいっても「このセンテンスで何を強調したいのか」がさっぱりわからない文章というのにも遭遇したことがあります。ライターのキャリアが浅いのか、もしかしたらクライアント企業の社員が書いたものかもしれません。そういう場面では、end focusが当てはまらないケースは何度も経験しています。
「IT系の文章に見られる傾向」、「IT系の人間に多い書き方」があるそうですが、一般人の英語との違いを私は意識したことがありません。これだけITが人間の生活に浸透しているなかで、ITとそれ以外をどこで区別すればいいんでしょうねぇ。