翻訳会社にとって「良い翻訳者」とは

ずばり、「つべこべ言わずに仕事を引き受けてくれる翻訳者」でしょう。私の個人的な経験から言っているだけで、全部の翻訳会社がそうだというわけではありません。
オンサイトの仕事をしていると、PM(Project Manager)が翻訳者の手配に悩んでいるのがわかります。突然数十万ワードの仕事の話が来て、翻訳会社としては仕事を逃したくないから、とにかく翻訳者を集める。でもそうそう暇な翻訳者ばかりじゃありませんよね。
仕事の条件も、最近ではかなりひどいものがあります。単価のことは、私は翻訳会社から見て外部の人間なので具体的に教えてもらえるわけではありませんが、かなり安いみたいです。私だったらその単価では絶対に引き受けたくない安さ。それでも受注する人がいるんですよね。それも「駆け出し」ではなくて何年ものキャリアがある人が。
仕事が始まったら始まったで、バイリンガルファイルとTMと中途半端な用語集と申し訳程度の翻訳指示書しか支給されなかったりして、よくそんな状態で翻訳できるなあと感心してしまいます。ソフトウェアに関するドキュメントなのに、そのソフトウェアがどういう製品なのかを知る手立てがまったくないなんて。PMが書いた指示書には、ソースクライアントのWebサイトのURLが書かれているだけです。どこの企業もMSみたいに技術資料をWebで公開してるとは限らないんですよ。だいたいプロジェクトの説明が「<ソースクライアント名>の<ソフトウェア名>のドキュメント翻訳」というだけで、どういう分野のどういうソフトウェアかの説明がない。PM自身も知らないんでしょう。
そういうプロジェクトに駆り出されて翻訳レビューをしてたのですが、とんでもない訳が次から次へと現れていやんなっちゃいました。翻訳者が手を抜いてるとしたら許せないし(単価が安いってのは理由にならない)、一生懸命やってこれだったらちょっと気の毒になってしまいます。自分が訳しているのが何の話かわからないって、辛くありませんか。せめて、原典ドキュメントのPDFぐらい請求しましょうよ。エンドユーザーがそのバイリンガルファイルを読むわけじゃないんだから。