最近のすごい訳

調べ物をしていて見つけたページ(http://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/system.web.compilation.buildmanager.targetframework.aspx)からの引用です。

.NET Framework 2.0 を対象とする Web サイト
対象が .NET Framework 3.0 であるかのように、.NET Framework 2.0 を対象とする Web アプリケーションがコンパイルされます。いずれかのバージョンが対象のとき、Web.config ファイルではコンパイラ バージョンまたはターゲット フレームワークが示されないので、ビルド プロセスは .NET Framework 2.0 と .NET Framework 3.0 を区別しません。(.NET Framework 3.5 の場合は Web.config ファイルはコンパイラのバージョンを指定し、.NET Framework 4 の場合は Web.config ファイルはターゲット フレームワークを指定します) したがって、.NET Framework 2.0 をターゲットとする Web アプリケーションの場合、このプロパティは、.NET Framework 3.0 を示すターゲット フレームワークのモニカーを返します。

これは「.NET Framework クラス ライブラリ」の中のBuildManager.TargetFrameworkというプロパティの説明の一部です。このプロパティの値は「現在の Web サイトが対象とする .NET Framework のバージョン」ですが、これに関する特記事項のようです。何が言いたいのか、よくわからないので英語版(すぐ左に表示されているのは便利)を見てみると、

Web Sites that Target the .NET Framework 2.0
Web applications that target the .NET Framework 2.0 are compiled as if the target were the .NET Framework 3.0. The build process does not differentiate between the .NET Framework 2.0 and the .NET Framework 3.0 because the Web.config file does not indicate compiler version or target framework when one of those versions is targeted. (For the .NET Framework 3.5, the Web.config file specifies the compiler version, and for the .NET Framework 4 Beta 1, the Web.config file specifies the target framework.) Therefore, for Web applications that target the .NET Framework 2.0, this property returns a target framework moniker that indicates the .NET Framework 3.0.

となっていました。なぜこれを訳した結果がそうなってしまうのかが謎です。段落の最初から主語がどこかに行ってしまっているし。「主語」という表現を使うとややこしくなるので言い方を変えると、「主題を提示する部分」です。英語の「Web applications that target the .NET Framework 2.0」の部分をそのまま日本語でも最初に提示するのが一般的な訳しかたですよね。「いずれか」が何を指しているかも不明だし。
元の英文に書かれていることは、まったく難しくはありません。

  1. Web applications that target the .NET Framework 2.0 are compiled as if the target were the .NET Framework 3.0.
  2. The build process does not differentiate between the .NET Framework 2.0 and the .NET Framework 3.0 because the Web.config file does not indicate compiler version or target framework when one of those versions is targeted.
  3. (For the .NET Framework 3.5, the Web.config file specifies the compiler version, and for the .NET Framework 4 Beta 1, the Web.config file specifies the target framework.)
  4. Therefore, for Web applications that target the .NET Framework 2.0, this property returns a target framework moniker that indicates the .NET Framework 3.0.

太字にしたのは、各センテンスの中の「新情報」と思われる部分です。読者が既に知っていることを先に述べて、その後に新たに伝えたいことを述べるという、非常にわかりやすい書き方をしているので、その順序で訳せば何の問題もないはずです。
たとえば、2番目のセンテンスの「The build process does not differentiate between the .NET Framework 2.0 and the .NET Framework 3.0」は、直前のセンテンスで述べていることの言い換えに過ぎないのに、日本語に訳すときに前後を入れ替えてしまうと、「区別しません」が述語になってしまい、「理由の部分」が強調されなくなってしまいます。センテンス単独で和訳せよというテストの回答だったら合格かもしれませんが、段落の一部であるので、前後のセンテンスとつながるように訳す必要があると思います。だって英語ではそう書かれてるし。because以降の部分で「2.0または3.0がターゲットのときは、Web.configファイルの中でコンパイラのバージョンもターゲットのフレームワークも指定されない」と述べた直後のかっこ書きでは、それと対照的なこと(3.5の場合はコンパイラのバージョンが指定され、4.0の場合はターゲットフレームワークが指定される)を述べています。段落の最後では、「こういう理由で、ターゲットが2.0の場合もこのプロパティはターゲットが3.0であることを示す」としめくくっています。
私は、基本的に「前から訳す」主義ですが、訳文が日本語として不自然になってもいいから前から訳せというつもりはありません。ただ、英文の話の流れを日本語訳でも維持するように訳せばわかりやすくなるはずなので、なるべくそうするようにしています。