カタカナ複合語の区切りは本当に必要か

オペレーティングシステム」と「オペレーティング・システム」と「オペレーティング システム」。なぜ同じ日本語なのに3通りも表記があるのでしょうか。今さらながらこんなことを思うのは、最近オンサイトの仕事をしていて、数百ワードの翻訳を1日に何件かやったことがあるからです。それぞれクライアントが違うので、案件ごとに表記スタイルも異なります。カタカナ複合語の区切りについても規定されているので、そのつどスタイルガイド(のサマリー版)を見て確認しなければなりません。
「オペレーティング システム」は、マイクロソフトが使ってますね。他の企業でも、いわゆるMSスタイルを流用しているところはこのスタイルです。「オペレーティング・システム」はIBMが使っています。どちらのスタイルにしても、英語の単語の区切りに合わせてスペースあるいは中黒を入れるという規則が一般的だと思います。
で、自分がふだん文章を書くときにどういうスタイルにしているかというと、「オペレーティング システム」は絶対に使いません。日本語の文中に半角スペースを入れるという不自然な表記をしたくないので。「オペレーティング・システム」も使いませんね。「オペレーティングシステム」でも判読に問題はないと思います。
判読という言葉を使いましたが、「判読に支障がある場合のみ適宜中黒を入れる」という指示をもらったこともあります。訳語の統一という点ではなかなかやっかいですが、日本人の感覚としてはわりと自然かなと思います。だって、ふだんメールを書くときに「メール・アドレスを変更しました」などとは書かないでしょう。
ではどの程度までなら楽に判読できるのか。2語だったら余裕ですが、3語以上になると全体が長くなるのでちょっと読みづらいかもしれません。でも、世間で見かけるカタカナ語って結構長いですよね。最近は日本の企業の組織名もカタカナが目立ちますが、たとえば日本電気(株)の組織図を見ると「パーソナルソリューションビジネスユニット」や「モバイルターミナルビジネスユニット」、「キャリアネットワークビジネスユニット」などというのがあります。
もっとも、長くても判読できるのは、個々の単語が「パーソナル」や「ソリューション」のように見覚えのあるものだからかもしれません。以前、Googleの検索結果のページに「スポンサードリンク」と表示されていたのを見たことがありますが「スポンサー・ドリンク」に見えるせいか、しばらくして「スポンサーリンク」に変わっていたような気がします。そういう意味では、いくつかのカタカナ語を組み合わせた商品名などは、個々の単語になじみがなくてなんだかわからないこともあるので、分かち書きするのはやむを得ないかなと思います。「ワーク・ライフバランス」という会社名を初めて見たときは、ほんとにそこで区切っていいのか?と思いましたが、考えたうえで決めた社名なので問題ないのでしょう。
3通りの規則のどれが指示されているにしても、こちらはそれに従いますが、やっかいなのはちょくちょく例外が出てくることです。「複合語に区切りを入れる」主義のクライアントも時々、例外と称して校正のときに「メールアドレス」「ウェブサイト」などと指示してくるところがありますが、やっぱりいちいち区切りを入れるのが鬱陶しいのでしょう。しかも、同じクライアントでも製品ラインによってレビュアーの好みが違うのか、「メールアドレス」を再び「メール アドレス」に訂正されてしまったりします。なんでこんなことに時間を費やさなければならないのか、毎度のことながらため息が出てしまいます。

追記:本文を保存してから気が付いたのですが、「はてなキーワード作成・編集ガイドライン」に「スペースがあっても無くても同じ意味をなす場合、無い表記を推奨します」と書かれていました。「オペレーティングシステム」はキーワードとして登録されているので自動認識されますが、あとの2つは「オペレーティング」だけが認識されます。