IT翻訳者の疑問

この業界に入って約20年。私の疑問は相変わらず解決しません。

peopleはいつから「ユーザー」になったのか

Googleの「Picasa 3.9 の新機能」というページ(http://support.google.com/picasa/bin/answer.py?hl=ja&answer=93773)で見かけた表現です。

Google+ のサークルと共有する -- Google+ に参加している場合は、Picasa 3.9 を使用して、Google+ で作成したサークルと直接共有することができます。サークルのユーザーの各自の Google+ ストリームに、あなたの写真や動画が表示されます。Google+ を使用していないユーザーにも Google+ のアルバムを表示するためのメールが届き、Google+ に参加しなくても表示することができます。

Picasaという画像管理ツールは、無料のわりになかなか便利なのでよく使っていますが、Google+は使っていないので、ここに書かれていることは私には関係ないといえばないことです。しかし、「サークルのユーザー」や「Google+ を使用していないユーザー」がどうもひっかかります。
英語版のページ(http://support.google.com/picasa/bin/answer.py?hl=en&answer=93773)を見ると、

Share to your Google+ circles -- If you've joined Google+, you can use Picasa 3.9 to share directly to the circles you've created in Google+. They'll see your photos and videos in their Google+ stream. People that don't use Google+ aren't left out. They'll get an email to view your album in Google+, and they don't have to join to do so.

となっています。自分がGoogle+で作ったサークルに入っている人を「サークルのユーザー」と呼んでいるようですが、その「ユーザー(user)」はいったい何を使って(use)いるのか? Google+を使っている人を指しているのか? でも「Google+ を使用していないユーザー」という表現もあります。Picasaのユーザーということか?
「サークルのメンバー」「Google+を使用していない人」でいいじゃないかと思いますが、なぜこうなったかを考えると、英日翻訳の仕事のときにありがちな指示を思い出します。

youは訳出しない。どうしても訳出する必要があるときは「ユーザー」などと訳す。

というやつです。あれを機械的に当てはめるとこうなってしまうのかもしれません。
このGoogleのWebページに限らず、ふだん私のところに回ってくるレビューの案件でも、「人」でよいところを「ユーザー」で「統一」しているケースをよく見かけます。翻訳者の多くは在宅フリーランスでバラバラに活動しているはずだし、オンサイトという形態でも訳出のしかたをいちいち相談したりはしないので(私の場合)、なぜこのような妙な手法が流行するのか、いつものことながら不思議です。