IT翻訳者の疑問

この業界に入って約20年。私の疑問は相変わらず解決しません。

プラントベース給食

動物性食品を使わない給食を最近ではこう呼ぶそうです。初めて聞いたときは「工場ベース」かと思いました。また新しいカタカナ語を勝手に作って……ということではなく、英語圏のplant-basedという表現を輸入したもののようです。私の業界では「お客様がカタカ…

IT企業はマーケティングコンテンツの日本語ローカライズにどれだけ力を入れているのか?

MicrosoftのWindows 11のリリースが10月5日に決定したそうです。あと1か月ちょっと、意外と早いですね。Windows 10のサポート期間中はあわててアップグレードしなくてよいかなと思っていますが。 これがどういうOSなのかを知るには、MSのサイトを見るのがよ…

東京パラリンピックは中止できないのか?

開会式まで1週間を切っているタイミングで中止するのは現実的でないでしょう。選手と関係者は既に入国して各地で事前合宿し、選手村への入村も始まっている。中止するから今すぐ帰国してくださいといってもフライトの手配だけでも大変だと思いますよ。何より…

五輪の選手全員のPCR検査は毎日できるのに国民全員にはできないのか?

コロナ禍が始まって約1年半。今でもこんな主張をする人がいると聞いてびっくりしています。「感染拡大を防ぐために国民全員を定期的に検査して無症状陽性をあぶりだす」ができればとっくにやっていますよね。仮にPCR検査の精度が100%で偽陽性も偽陰性もなか…

五輪はいいのに帰省はだめなのか?

「そんなの自分で考えろ」以外の意見は思い浮かびません。 帰省したら、家族や親戚との食事をコロナ禍前のようにする機会もあるでしょう。それが感染リスクであることを認識してリスクを回避する努力をしていれば、もしくは感染という結果を受け入れる(発症…

なぜ「武漢肺炎」と呼ばなくなったのか?

もちろん、中国の武漢市に責任があるような意味合いを持たせてはいけないからですが、現在全世界で流行している病気は今現在何と呼ばれているでしょうか。英語圏ではCOVID-19というのが一般的ですね。COVIDはcoronavirus diseaseの略で、19はこれが発見され…

日本人は理由を軽視している?

主語が大きくて申し訳ありません。でも最近こう思うことが増えてきました。理由をきちんと説明しないから余計な誤解やアンチを招いたりしているのではないかと。 今の日本では、たとえば商業施設に入るときにマスク着用が求められますが、それはなぜでしょう…

「Later this year」は「今年後半」のこと?

この間Windows 10に移行したと思ったらもう11だそうです。個人的には、7に比べて余計なことばかりする10に全く愛着が持てずにいるのですが、11ではそういうストレスが軽減されることを期待します。 そのWindows 11が一般人向けにリリースされるのはいつでし…

Compatibleの訳は「互換」だけ?

英語のcompatibleという単語にはいろいろな意味がありますが、コンピューター用語としては「互換性がある」で定着しているようで、各種英和辞典にもこの訳語が載っています。しかし本当にcompatibleを常時「互換性がある」と訳してしまってよいのでしょうか…

関数のreturn valueは「戻される値」か?

関数のreturn valueは、Microsoftの「ランゲージ ポータル」(https://www.microsoft.com/ja-jp/language/)では「A single value that is the result of the execution of a statement, method, or function.」と定義されていて、日本語訳は「戻り値」とな…

Microsoftのホームページのメタデータ

先日のブログで、文は単独で存在するものではなく、たいていは段落の中にあるので、単文で文章術を考える気分にはなれないという趣旨のことを書いたばかりですが、単独で存在する例を思い出しました。Webサイトのメタデータです。 www.microsoft.comこの「マ…

「述語から読む・訳す」とは

しばらく前に、 「述語から読む・訳す」というテーマのセミナーが開催されていることをネットで見かけましたが、具体的にどういう技法のことなのか、なかなかイメージがつかめませんでした。衛星図の例も見たような気がしますが、その例文が、文章術を教える…

原語が同じでも文脈によって表記が異なるカタカナ語

単なるメモです。 Flag プログラマーが立てるのは「フラグ」 応援する人が振るのは「フラッグ」 Routine プログラマーが繰り返したいのは「ルーチン」 スポーツ選手が決まってやるのは「ルーティン」 Channel テレビのは「チャンネル」 物を売るルートは「チ…

英語のweをどう訳すか

www.trados.com このページの最後にこのような文章がありました。 RWSと統合されたRWSは、世界最大規模の翻訳サービス/テクノロジープロバイダとなり、お客様のビジネスの成功を支援することにこれまで以上に注力します。 「RWSと統合されたRWS」。プルーフ…

なぜanyの訳が「あらゆる」になるのか

昨日取り上げたSDL Trados Studio GroupShare Online Editorのページの文章で、もう一つ気になることがあります。それは「インターネットに接続されたあらゆるデバイス」という表現です。 www.trados.com www.trados.com GroupShareには、プロジェクトに関わ…

「備わっています」

この業界の人は「備わってます」という表現が好きですね。 SDL Trados Studio GroupShare Online Editorを使用して翻訳とレビューをオンラインで実施 GroupShareには、プロジェクトに関わる全員のリアルタイム共有を実現する、翻訳とレビュー用の使いやすい…

検査数が不足していれば陽性率が上がるはず

翻訳には関係のない話題ですが、新型コロナウイルス感染症の患者発生状況(陽性確定した人の数)が発表されて、それが減少傾向にあると「どうせ検査の数を絞っているから」とコメントする人が必ず現れますが、そういうネガティブな発想を文字にして何が楽し…

アメリアのメディカル英日定例トライアルの訳例がわかりにくい

私は一応アメリアの会員なので毎月会報を受け取っています。メディカルの定例トライアルの訳例と講評はほとんど読んでいませんでしたが、2021年6月号に同封されていた2021年3月号の課題はvaccine hesitancyという、専門外の私にも身近なテーマのものだったの…

「a good quality translation」の訳は「高品質の翻訳」だけなのか

www.trados.com 「高品質の翻訳には誰も気付きません。ところが、低品質の翻訳には誰もが気付きます。 」は、先日見つけたtrados.comのブログの見出しですが、もう少しなんとかしたいと思いませんか? www.trados.com 英語版の見出しは「Nobody notices a go…

Tradosホームページにある謎の文章

https://www.trados.com/jp/ にアクセスしたらこのような注意書きがありました。どういう工程を通ったらこういう文章がWebにアップロードされるのでしょうか? 念のため英語版も。 追記:5月21日午前11時(日本時間)ごろにもう一度アクセスしてみましたが、…

低品質の翻訳には誰もが気付くというtrados.comの金言

www.trados.comおっしゃるとおりです。英語版のリンクも貼り付けておきましょう。 www.trados.com

頭から訳すことは「順送り訳」という

越前敏弥氏のツイートから始まるスレッドを見るまで知らなかったのですが、こう表現するのですね。勉強になります。 「原文に出てきた情報をなるべくその順に訳す」と「原文が長い場合に安易に切って訳さない」は、どちらも文芸翻訳の大原則だが、そのふたつ…

同業者がワクチン関連のデマツイートをリツイートしていた

その人は、「自称」なだけかもしれませんが翻訳者とプロフィールに書かれていました。専門はメディカルやバイオではなさそうですが、物事を自分で考えようとせずデマをそのまま拡散する姿勢にちょっとした衝撃を受けました。

修飾語をいくつもくっつけた文章が日本語では良い文章とされる理由

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)予防のワクチン接種が日本でも始まりましたが、未だにワクチンに抵抗を示す人は多いと聞いています。その理由は、mRNAワクチンが何をするものかがわからず怖いからではないでしょうか。そのため、多くの専門家がいろい…

“マイクロソフトの翻訳者は自動翻訳システムです”

Googleで「マイクロソフト 機械翻訳」という条件で検索すると、その結果の中に「機械翻訳-ビジネスのためのマイクロソフト翻訳 - Microsoft」というタイトルのページがありますが、その説明(メタデータ)はどうしてこうなってしまったのでしょう。 Machine …

Microsoftの機械翻訳は自分の名前の表記も知らないらしい

www.microsoft.comMicrosoft Translatorという機械翻訳サービスを紹介するページのはずですが、まず目に入るのは このページは、マイクロソフト翻訳者の機械翻訳サービスによって自動的に翻訳されました。 というテキストです。 フランス語のページ(https:/…

クライアントレビューの結果、英語の原文と日本語の訳文の意味が全然違ってしまう

昔からある問題ですが、翻訳会社から納品された成果物にクライアントのレビュアーが好き勝手に手を入れた結果、英語の原文と日本語訳が全然一致しなくなるというケースをつい最近も目にしました。そのレビュアーの責任で「日本市場に合わせて」手を加えるの…

SDLのマーケティング系コンテンツのローカライズ例

「行えます」という日本語表現の用例を探していて見つけたページですが、いろいろすごくないですか? www.sdl.com SDLのグローバルなクリエイティブコンテンツ作成チームが、革新的なソリューションを備えたブランドと代理店となり、関連性が高く、訴求力の…

プレースホルダーとしての「以下」

英文のセンテンスが不完全なままコロンで終了し、その後に箇条書きが続いていて、続けて読むと完全なセンテンスになるという文章はよく見かけますが、その形を活かしたまま日本語でも再現するのは難しいですね。SDLのサイトでの例を拾ってみました。 www.sdl…

evaluate toをどう訳すか

コンピューターに何かをさせるときにIF-THEN-ELSEの条件判定は不可欠なので、これに関する記述はいろいろなIT企業のヘルプドキュメントに出現します。その中で、If the expression evaluates to trueのような英文が「式がtrueに評価された場合は」などと訳さ…