IT翻訳者の疑問

この業界に入って約20年。私の疑問は相変わらず解決しません。

翻訳メモリの質が今ひとつなのは?

Tradosなどのツールを使う仕事で支給された翻訳メモリの訳が今ひとつと感じることが時々あります。同業者に聞いてもそういう経験はあるとのことなので、別に珍しくはないようですが、そんな今ひとつの訳を作ったのもどこかの翻訳者ですよね。
他人の訳は悪く見えるというのもありますが、私に仕事を発注している翻訳会社(A社とします)とは別の会社(B社とします)が旧版を手がけていて、クライアントがB社の品質に不満でA社に乗り換えたというケースも考えられます。その場合は「メモリの訳がひどい」とA社の担当者に伝えて、流用分も手直ししたりしますが、旧版もA社が担当している場合はA社の仕事にけちをつけることになってしまいますね。少し前は、旧版から100%流用可能な分も、読む手間ということで新規分の10%ぐらいは翻訳料を支払ってもらっていましたが、最近はどこも100%マッチの支払はゼロで、何もしないでくださいと言われます。そうなると手直しはできません。
ツールを売る側は、ローカライズのコストが大幅に削減できるといったメリットを打ち出していますが、再利用できるまともなメモリを作るにはそれなりの手間がかかるので、全体的なコストダウンがどれだけできるかを知りたいものです。