IT翻訳者の疑問

この業界に入って約20年。私の疑問は相変わらず解決しません。

経験の長さと翻訳の実力

先日引き受けた翻訳レビューの仕事で、ものすごくデタラメな訳文に遭遇しました。あまりにデタラメなので似たような例を作るのも難しいのですが、原文の逐語訳ですらないのです。訳文は、文法的には一応日本語だけれど論理的には無茶苦茶で、それが5,000ワードほど続きました。なんというか、翻訳の仕事をなめているという感じです。翻訳者へのフィードバックを書いて欲しいと言われたので率直に書いたのですが、もう本人には届いたでしょうか。
その人は海外在住ということぐらいしか教えてもらってないので、「国際結婚して相手の母国に移住しました。得意な英語を使って仕事をしてみようと思いました。Tradosがあると有利と聞いたのでTradosを導入しました」というノリで最近翻訳の仕事を始めた人かなあと勝手に想像していたのですが、ある求職サイトでその人の名前を見つけてびっくり。プロフィールによれば、この仕事を始めたのは10年ぐらい前とのことですが、今まであの調子で仕事をしていたのでしょうか。もっとも、ずっとフルタイムで翻訳の仕事をしていたとは限らないですね。
こうやって私も偉そうなことを書いていますが、誰から見ても文句のない実力を持っているとはとても言えません。キャリアにあぐらをかくことなく精進していかねばと思っています。