IT翻訳者の疑問

この業界に入って約20年。私の疑問は相変わらず解決しません。

★UI★

調べ物をしていて見つけたページです。

http://office.microsoft.com/ja-jp/communicator/HP011725351041.aspxの一部です)
「★UI★」はおそらく、翻訳の時点で「Location-based forwarding」という画面項目の日本語訳がわからなかったので翻訳者が付けたマーキングです。支給された資料の中では見つからなかったので、翻訳会社なりソースクライアントなりに確認をお願いする意味で目立つ「★」を付けているのですが、後の工程で解決されなかったのですね。このWebサイトの翻訳やエンジニアリング作業は多分ベンダーに外注しているのでしょうが、発注した人はWebで公開する前に確認したりしないのでしょうか?
日本語ローカライズの仕事では、「UIの表記はUI辞書を調べて日本語版UIに置き換える」という作業がほぼ必須ですが、この部分は未だにほとんど手作業です。手作業でも、UI辞書が整備されていれば機械的に日本語UIへの置き換えが可能ですが、いつも機械的にできるとは限りません。たとえばヘルプでは「Location-based forwarding」でもUI辞書で「Location based forwarding」という表記が使われていると、一度検索しただけでは見つかりません。ひどいときは「forwarding」が「fowarding」になっていたりします。HTMLヘルプの翻訳とソフトウェアリソースの翻訳が並行して行われていると、UIの変更がHTMLヘルプにすぐには反映されず、ヘルプのUI表記が古いままなのでいくらUI辞書を検索しても見つからないということもあります。理由はいろいろ考えられますが、ソフトウェアのバージョンが2005なら、いくらなんでも日本語化は完了していますよね?
「Location-based forwarding」のような「他のものに合わせなければならない文字列」をソーステキストの中でハードコーディングするのではなく変数化しておいて、自動的に日本語UIに置き換えるようにすれば間違いもなくせると思うのですが、私自身はそこまでやっているプロジェクトに出会ったことはありません。日本語だけでなくいろいろな言語の翻訳者が同時に、機械的な作業に時間を費やしていることを考えると、もうちょっとなんとかならないものかと思います。