IT翻訳者の疑問

この業界に入って約20年。私の疑問は相変わらず解決しません。

くどい訳は誰の好み?

SDL Tradosに関連してSDL Trados Liveという製品も登場したそうですが、何をするソフトウェアなのかがさっぱりわからないのでFAQを見てみました。

www.sdltrados.com

SDL Trados Liveとは何ですか。
SDL Trados Liveは、革新的で新しいSDLの翻訳生産性向上クラウドです。SDL Trados Studioとシームレスに連携し、独自の強力な翻訳体験、プロジェクト管理体験、改訂体験を提供することで、仕事の進め方を変革します。翻訳者から大規模なチームをまとめるプロジェクトマネージャーに至るまで、誰もがこのダイナミックなコンビネーションを活用して仕事の進め方を整え、より高品質な翻訳を迅速に提供することができます。

 

www.sdltrados.com

What is SDL Trados Live?
SDL Trados Live is the new and innovative translation productivity cloud from SDL. It works seamlessly with SDL Trados Studio to bring you a uniquely powerful translation, project management and revision experience that can transform the way you work. Everyone, from individual translators to project managers running large teams, can utilize this dynamic combination to create a way of working that delivers higher quality translations, faster. 

 知りたいことの答えがまったく見つかりません。英語版を読んでもよくわからない。自分のPCのローカルディスクにTMやバイリンガルファイルを置く代わりに、クラウドに置いてどこからでもアクセスを実現するのかなと想像していますが、それよりも気になるのは「独自の強力な翻訳体験、プロジェクト管理体験、改訂体験を提供することで」というくどい表現です。「独自の強力な翻訳体験」とは?「プロジェクト管理体験を提供する」とは?

英語版では「to bring you a uniquely powerful translation, project management and revision experience」ですが、これを「to bring you a uniquely powerful translation experience, project management experience and revision experience」と展開した状態で訳すのはSDLの方針なのでしょうか。以前もブログのネタにしたことがありますが、今でもこうやって頻繁に目にするので、組織的に行われていることなのかもしれません。「プロならお客様の好みに合わせるもの」と言われたこともありますが、こういう技法をいちいち指示されるとしたら面倒でたまらないですね。

ところで、このような文脈でのexperienceという単語を「体験」と訳出することは必要なのでしょうか。give you a xxxx experienceを逐語訳しても自然な日本語にはなりませんよね。「~とシームレスに連携して独自のパワフルな作業環境を作り、翻訳、プロジェクト管理、改訂の仕事の進め方を変革する」という感じで書き換えてしまってもよいのではと思います。