IT翻訳者の疑問

この業界に入って約20年。私の疑問は相変わらず解決しません。

なぜanyの訳が「あらゆる」になるのか

昨日取り上げたSDL Trados Studio GroupShare Online Editorのページの文章で、もう一つ気になることがあります。それは「インターネットに接続されたあらゆるデバイス」という表現です。

www.trados.com

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GroupShareには、プロジェクトに関わる全員のリアルタイム共有を実現する、翻訳とレビュー用の使いやすいオンライエディタが備わっています。これにより、プロジェクトマネージャーや翻訳者、専門知識を持つエキスパートは、インターネットに接続されたあらゆるデバイスからコンテンツをレビューして簡単な編集を加えることができます。

「インターネットに接続されたあらゆるデバイスからコンテンツをレビュー」と聞いて絵を描くとしたら、どんな絵になるでしょうか。デバイスの数は? 現代日本には多数のスマートフォンユーザーがいてインターネットにいつでも接続できますが、これらの「インターネットに接続されたあらゆるデバイス」からコンテンツを編集しますか?DDoS攻撃じゃないんだから。

GroupShare includes an easy to use online translation and review editor that enables real-time sharing for everyone working on the project. Project managers, translators and subject-matter experts can now review and make light edits from any device connected to the internet.

 原文のmake light edits from any device connected to the internetの意味は、「簡単な編集がどのデバイスからでもできる。インターネットに接続していれば」ですよね。このanyの訳し方も過去に取り上げたことがあるような気がしますが(https://jacquelinet.hatenablog.com/entry/20081003/p1)、こういう変な訳し方が業界内に定着しているのが不思議です。中には発注元の「お客様」の指示で、多少不自然でも指示に従っているというケースもあるかもしれませんが、TradosのWebページの日本語訳は、ローカリゼーションベンダーでもあるSDL(今はRWSでしたっけ)が手がけているはずですよね。