引き続き、MicrosoftのCognitive Servicesのページを読んでいて感じたことです。
Cognitive Services - AI ソリューション向け API | Microsoft Azure
Azure AI サービスのファミリ全体を確認する
Azure AI サービスを使用して、ミッション クリティカルな AI ソリューションをお客様の条件に基づいて責任をもって構築します。
ページの中程にある、前後の部分とは背景色が異なるセクションの冒頭にあるテキストですが、この「構築します」は誰がすることなのでしょうか。この下にはAzure Applied AI ServicesとAzure Machine Learningの2つのサービス名とその簡単な説明があります。「お客様の条件に基づいて責任をもって構築します」ということは、Microsoftがその2つのサービスを使って構築するのでしょうか。
英語版を見てみます。
Cognitive Services—APIs for AI Solutions | Microsoft Azure
Explore the whole family of Azure AI services
Build mission-critical AI solutions responsibly and on your terms with Azure AI services.
Microsoftが構築するのならこうは書きませんよね。Buildするのはこれを読んでいるあなたです。
ソフトウェアの操作マニュアルなら、命令形で書かれている手順を「~します」という文型で訳すのが一般的です。「してください」だとくどいし。そのやり方をこのページに当てはめてしまってよかったのでしょうか。読んでいるあなたがすることですよ、という意図が伝わるように訳さないと、ただの独り言です。独り言ならまだいいのですが、「お客様の条件に基づいて」という文言が入ってしまうと、暗黙的に「私たちが」を強調していることになりませんか?
この英文で何を言いたいかというと、ミッションクリティカルなAIソリューションの構築を、責任を持って、あなたの思いどおりに行うにはAzure AI servicesをお使いくださいということですよね。
手っ取り早い改善方法としては、「構築します」を「構築できます」に変えることでしょうか。そうするには、文頭の「Azure AI サービスを使用して」を「Azure AI サービスを使用すると」に変えなければなりません。
Azure AI サービスを使用すると、ミッション クリティカルな AI ソリューションをお客様の条件に基づいて責任をもって構築することができます。
「これを使えば構築できる」と言い切ってしまうと、原文の意図から離れてしまうんですよね。頭から訳してはいけませんか?
ここまで書いてから、このページを改めて見てみたら、すぐ上にこういうセクションがあったのですね。
お客様独自の Azure AI ソリューションを構築する
実践者向けに特別に設計されたリソースで、AI の基本的な概念を学び、実際に体験し、最新の AI 製品を探索することができます。
Build your own Azure AI solutions
Learn essential AI concepts, get hands-on experience, and explore the latest AI products with resources designed specifically for practitioners.
Cognitive Servicesとは何で、どういうメリットがあるかという説明に続いて、実際に使う方法を説明する開発者用リソースを示し、その後に具体的な製品を紹介しているわけですね。だからやはり、「構築します」という独り言文体ではなくて、読み手に呼びかけるような文章にしたほうがよいと思います。「Azure AI サービスのファミリ全体を確認する」という意味不明な見出しも、もうちょっとなんとかしたほうがいいですね。英語版では「Explore the whole family of Azure AI services」です。