あるソースクライアントから支給された用語集でauthorizationの訳を調べたら、「認証」となっていたのですが、authenticationとごっちゃになってしまっているようで、大丈夫だろうかと心配になってしまいました。用語集といっても例によって英語と日本語の対訳が並んでいるだけでほとんどコメントもないので、きっと特異な文脈で使われるのだろうということにしておきます。
セキュリティの文脈で、authenticationといえば「認証」ですが、authorizationの訳はややばらつきがあるようです。「認可」が多いのですが、「権限付与」、「承認」、「認定」という訳もちらほら見つかります。
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Microsoftの.Net Framework用語集や、SunのSun Java Enterprise System 用語集では「承認」となっています。こうやって英語表記を併記していればまだしも、いきなり「承認」と言われてauthorizationのことであると理解できるでしょうか。ソフトウェア製品独自の用語ならどのように訳すかは開発元の自由ですが、こういった基盤技術の用語は業界標準に従ったほうが、お互い話が通じやすくなると思います。ちなみに、JIS X0008「情報処理用語―セキュリティ」ではauthorization=「認可」ですが、実際の翻訳の仕事で、訳語選択の基準として、たとえばJISに従うなどと指示されたことはないですね。皆さん何を頼りに決めているのでしょうか。
ところで、http://www.microsoft.com/globaldev/tools/MILSGlossary.mspxでダウンロードできる用語集(翻訳の仕事ではまったく使いませんが)によれば、中国語(簡体字・繁体字)ではauthorization=「授権」です。「権利を与える」という意味では「認可」よりもわかりやすいですね。