IT翻訳者の疑問

この業界に入って約20年。私の疑問は相変わらず解決しません。

2009-07-01から1ヶ月間の記事一覧

「結論→理由」を「理由→結論」にするとおかしくなる例

念のために書いておきますが、私は変な訳の指摘を趣味にしているわけではありません。ふだんの翻訳レビューの仕事で見かけるのと同じ傾向がWebの記事にも現れているので、「なぜ多くの翻訳者がそういう訳し方をするのだろうか」を考えるための例として引用し…

「結論→理由」を「理由→結論」として訳せるか

「「Firefox 3.5」リリースと新局面を迎えたブラウザ競争」という記事(http://japan.cnet.com/special/story/0,2000056049,20395962,00.htm)の2ページめからの引用です。「ユーザー向け新機能」の第4段落です。 MozillaはまたHTMLビデオにも刺激を受けた。…

「英語では結論が先」を教わったのはいつ?

英語を使う仕事をしていながらこんなことを言うのも何ですが、「英語とは結論を先に、理由を後に述べる言語である」ということを以前はあまり意識していませんでした。そんなこと教わった記憶はないし。でも、Googleでちょっと検索してみたらhttp://www.gifu…

「着地点をイメージさせる」

ふだん英日翻訳レビューの仕事をするときは、日本語訳だけを見て、引っかかったら原文とじっくり照らし合わせてチェックすることにしています。日本語が不自然な場合は、原文の解釈に無理があったり、訳語の選択が不適切だったりすることが多いので。でも、…

several=「いくつか」?

severalについては以前も取り上げたように思いますが、機械的に「いくつかの」と訳されているのを今でもレビューの仕事でたびたび見かけます。確かに英和辞典には「いくつかの」という語義が載っていますが、訳文の中で「いくつかの」という表現がいつもぴっ…

writeの目的語がapplicationでも訳は「記述する」?

第4に、ウェブ開発を仕事にしている人たちは多数いるものの、複雑なアプリケーションを記述できる程度に、必要なテクノロジに精通した開発者はそれほど多くないといっていい。 出典:http://japan.cnet.com/special/story/0,2000056049,20396569-3,00.htm Fo…

Google Translator Toolkit

ちょっと暇だったので「Google Translator Toolkit」をいじってみました。危ないですねぇ。英文テキストのファイルをアップロードすると、TM(Translation Memory)からの流用(Exact Match)と機械翻訳によるpre-translationが行われて、その後で自分で訳文…

Webで見つからないものはこの世に存在しないと見なされる?

ある企業の活動を紹介するWebページの翻訳レビューをしていたのですが、そのページにはその企業が関与する組織(標準化団体など)の一覧があります。で、その組織名の一つに「Webで見つからなかったのでスペルミスだと思います」という翻訳者コメントが付い…

includeの訳は「含む」だけ?

私自身も山岡洋一氏の著書を読んで気付いた口なので偉そうなことは言えませんが、英語のincludeを機械的に「〜を含む」と訳すと不自然になることがあります。英単語のあぶない常識―翻訳名人は訳語をこう決める (ちくま新書)の“INCLUDEは「含む」か”の項に 日…

「翻訳メモリ」はソフトウェアでしたっけ?

Googleで「翻訳メモリ」を検索すると、最初に現れる結果は翻訳メモリ - Wikipediaですが、この記述がひどい。 翻訳メモリ(ほんやくメモリ 英:translation memory)とは、原文と翻訳文を一対としてデータベース化し、その内容を自動的に繰り返し利用するこ…

翻訳メモリーを使う案件では翻訳者の力量は問われない?

ある翻訳会社のプロフィールを読んでいたら、「翻訳メモリーを使うような案件ではなく、翻訳者の力量が問われる分野の翻訳が得意である」という記述がありました。えーと、翻訳メモリー(TM)を使う案件では翻訳者の力量は問われないのでしょうか。「力量」…