IT翻訳者の疑問

この業界に入って約20年。私の疑問は相変わらず解決しません。

抽象的な英文の意図がわからないときはどうするか

Microsoft Azureのトップページ(https://azure.microsoft.com/ja-jp/)のデザインと文言がまた変わっていました。

 

 

英語版(https://azure.microsoft.com/en-us/)の

Create solutions for everyone—while still protecting what's yours

というメッセージが、日本語版では

自分の環境を引き続き保護しながら、すべてのユーザー向けのソリューションを作成する

となるんですね。英語のeveryoneという、人を表す単語に対してさっそく「ユーザー」が出てくるのを見ると、訳し方の癖というのは抜けないものだなとつくづく思います。

それより、英文ではダッシュをはさんで2つのことが述べられているのですが、日本語に訳すときにひっくり返してしまうのはなぜでしょう。英語のstillには「それでもなお」という意味がありますが、先頭に持ってきてしまったら「どこから引き続いているのか」と疑問に思いませんか?「みんなのためのソリューションを作れるけれども、自分のものはしっかりと守る」がAzureのセールスポイントなんですよね。英語の「protecting what's yours」は抽象的な表現ですが、これが指しているのはその下の「using solutions for layering security into every phase of development.」のことでしょう。その右側にあるグラフィックの、男性の横にある盾のようなイラストもこれを表しているのだと思います。

ただ、「ダッシュをはさんで2つのこと」と書いたものの、前半の「Create solutions for everyone」の意図がよくわからないんですよね。ある問題を抱えている人が誰でも使えるようなソリューションを作ろうとするときに、開発者の資産のセキュリティが危うくなるようなことがあるのでしょうか。こういうとき、原文のライターに意図を質問できるといいのですが。英語読者なら読んですんなり理解できるはずの英文の意味を教えてくださいというのは恥ずかしいのですが、勝手に解釈して変な訳文を作るよりは良いかと思います。

参考までに他の言語のページも見てみました。

中国語(中国):https://azure.microsoft.com/zh-cn/

 

中国語(台湾):https://azure.microsoft.com/zh-tw/

 

フランス語:https://azure.microsoft.com/fr-fr/

 

どの言語も英語の「what's yours」の訳し方には苦心しているようですが、やっぱり日本語ローカライズは独特ですね。

日本市場向けローカライズは他市場向けより手間がかかると言われる理由

先日ネタにした、Microsoft Azureのトップページ(https://azure.microsoft.com/ja-jp/)のメッセージが日本語に訳されていました。数日前に見たとき、目立つタイポがあったので修正されるのかなと思って様子を見ていたのですが、まだそのままです。

英語版ページ(https://azure.microsoft.com/en-us/)の「Be yourself: Innovate with your favorite tools, in any environment」というメッセージがどう日本語で表現されるか、楽しみにしていたのですが、思いもよらない形に仕上がっていました。

この英語のメッセージを分解すると

  • Be yourself: 
  • Innovate 
  • with your favorite tools, 
  • in any environment

となりますので、各部分を訳して一つの文として組み立てればいいのですが、「Innovateしましょう」という呼びかけのメッセージがなぜ

自分らしく: あらゆる環境で、お気に入りのツールで生み出すイノベーション

という名詞句になってしまうのでしょう。

他の言語のページも見てみました。

フランス語:https://azure.microsoft.com/fr-fr/

Soyez vous-même : innovez avec vos outils préférés, dans n’importe quel environnement

ヨーロッパ言語だとだいたい同じ構造でいけるのですね。

中国語(中国):https://azure.microsoft.com/zh-cn/

成为你自己: 在任何环境中,使用最喜欢的工具进行创新

中国語(台湾):https://azure.microsoft.com/zh-tw/

做自己: 在任何環境中使用您最愛的工具進行創新

「In any environment」に相当する部分が先頭に来ているのは文法上の都合でしょうか。あなたの好みの工具を使って創新を進行しましょう、ということで原文に忠実といえるかと思います。

英語のinnovateという動詞は訳しにくいのですが、イノベーションというカタカナ語はある程度浸透しているので、これを使うというのはよいアイデアだと思います。しかし「イノベーション」は名詞なのでそのままでは読者への呼びかけになりません。したがって動詞を補う必要があるのですが、中国語では中国・台湾ともに「進める」が使われていますね。「生み出す」ではどうかというと、innovateの意味は「to introduce new things, ideas or ways of doing something」(innovate verb - Definition, pictures, pronunciation and usage notes | Oxford Advanced Learner's Dictionary at OxfordLearnersDictionaries.com)なんですよね。イノベーション自体が「新しい物事を生み出す」なので、それを「生み出す」のはちょっと変です。

あとin any environmentについてですが、またかという感じです。なぜ日本語訳では「どの環境でも」ではなく「あらゆる環境で」になってしまうのか。フランス語のn’importe quelは「どんな~でも」だし、中国語の「何」は、中日辞書によれば疑問代詞で「何、どんな」といった意味があるようです。

10年以上前のことだと思いますが、日本語(日本市場)へのローカライズは他市場に比べて手間がかかる、なぜなら要求レベルが高いからだという話を聞いたことがあります。普通に訳すと翻訳臭くなるから自然な日本語にするのは大変、というのはわかりますが、こんな感じの文章に仕上げようとしたら手間暇かかるのも無理はありませんよね。英文のメッセージをそのまま日本語で伝えてはいけないというルールでもあるのでしょうか。

MSのWebページの一番目立つ部分が英語のまま

Microsoft Azureのトップページ(クラウド コンピューティング サービス | Microsoft Azure)を見に行ったら、肝心のメッセージがなぜか英語のままでした。

これは日本語版に限ったことではなく、中国語版(云计算服务 | Microsoft Azure)やフランス語版(Services de cloud computing | Microsoft Azure)でも同じです。Azureがどういうサービスなのかを知りたくてここにアクセスした非英語話者にメッセージを伝えなくていいんですか?

「Azure は、目的を持って考案する。」という妙なメッセージだけ日本語化されているのですが、ここは英語版(Cloud Computing Services | Microsoft Azure)だと「AZURE. INVENT WITH PURPOSE.」なんですよね。中国語でもフランス語でも2文として訳されているのに、なぜ日本語だとinventしなさいという命令形が「Azureは考案する」という人工知能の話みたいになってしまうのか。

どういう経緯でこうなったのかは想像するしかありませんが、Microsoftにとってローカライズはこの程度でOKだとしたら悲しくなってきます。

機械翻訳を使ってもあまり省力化できない理由

Microsoftはこんなサービスも提供しているのかと感心しつつ見ていたページで見つかった表現です。

azure.microsoft.com

 

azure.microsoft.com

Microsoft Azureの他のサービスと同様に、概要から始まってこのサービスでできることの説明があり、最後に実際に使うための情報があるのですが、その記述です。

分単位の速度で衛星と通信する

Azure Orbital Ground Station は、任意のサイトから任意のリージョンへの衛星データの無料バックホールを提供します。衛星との連絡を従量課金制でスケジュールします。

Communicate with satellites at a per-minute rate

Azure Orbital Ground Station provides free backhaul of satellite data from any site to any region. Schedule contacts with satellites on a pay-as-you-go basis.

さて「分単位の速度で通信する」とは。先に書いておきますが、上記の日本語テキストは、その下の英文をEdgeブラウザーの翻訳機能で翻訳した結果と全く同じです。Microsoft Translatorが学習した結果なのか、Microsoft translatorsが機械翻訳の出力を見てOKを出したのかはわかりません。でも人間が翻訳していたら、「分単位の速度」という日本語がおかしいと思いませんか?

こういう短い文章を訳すとき、最初にすることは文脈の確認です。どういう製品に関係していて、その製品の何を伝えようとしているか。これは機械翻訳+ポストエディットでも変わらないはずです。最初から訳文が何かしら入っているので入力の手間は多少省けるとしても、文脈の確認にはその省かれた時間の何倍もの時間がかかります。そんなの確認しなくていいから字面どおりに訳せというのは無茶な要求です。あと、その分野特有の言い回しを調べるのにも時間がかかります。衛星とのcontactを「連絡」と訳してよいかどうかは、一応調べますよね? 

もちろん、ドキュメントの形態によっては機械翻訳でかなりの省力化が期待できるケースもあると思いますが、少なくともこのようなマーケティング系のコンテンツにはあまり適していないように思います。

いずれ、機械翻訳がもっと賢くなって文脈も自動的に察知して、「分単位の速度」ではなく「分単位の料金」と訳してくれるようになるかもしれません。前述のテキストの横には棒グラフとドル記号を組み合わせたグラフィックがありますので。今の人間翻訳のやり方がいつまでも通用するとは限らないかもしれません。

ここまで書いた後で、DeepLで試してみたら「料金」と訳されていました(他の部分の訳はちょっと怪しいものの)。

分単位の料金で衛星と通信可能

Azure Orbital Ground Stationは、どのサイトからでも、どの地域からでも、衛星データのバックホールを無償で提供します。衛星との通信を従量課金制でスケジューリングします。

 

機械翻訳に負けているMicrosoftの人間翻訳

ITソリューションの導入事例の書き方を調べているので、Microsoft Azureの他のサービスのページもいろいろ見ていたのですが、また文学的な表現(?)が見つかりました。

Azure Active Directory 外部 ID | Microsoft Azure

「あらゆる規模の企業から寄せられる信頼」という見出しの下にある、Nuffield Healthという組織の事例の概要です。

健康とフィットネスのためのセキュリティで保護された Web ポータル

Nuffield Health が 100 万人のメンバーに達したとき、ユーザー ポータルをすばやく作成する必要がありました。Azure AD External Identities を使うことにより、メンバーのジムの予約、トランザクション、フィットネスの目標、健康記録、その他のデータを 1 つの包括的なビューに主役にすることができました。

「その他のデータを 1 つの包括的なビューに主役にすることができました」とはまた凝った表現、と思いましたがてにをはが変ですね。英語版を見てみましょう。

Azure Active Directory External Identities | Microsoft Azure

Secure web portal for health and fitness

When Nuffield Health reached 1 million members, they needed to create a user portal fast. Azure AD External Identities enabled them to aggregate members’ gym appointments, transactions, fitness goals, health records, and other data into a single, holistic view.

「主役」という単語はどこから来たのでしょう。「Nuffield Health が 100 万人のメンバーに達したとき、」という逐語訳が怪しいのでもしやと思ってEdgeの翻訳機能で日本語に訳してみたらやはり。

健康とフィットネスのための安全なWebポータル

Nuffield Health が 100 万人のメンバーに達したとき、彼らはユーザーポータルを素早く作成する必要がありました。Azure AD 外部 ID を使用すると、メンバーのジムの予定、トランザクション、フィットネスの目標、健康記録、およびその他のデータを 1 つの全体的なビューに集約できました。

このページがどうやって翻訳されたかは不明ですが、機械翻訳されたという但し書きはないので人間が翻訳したものですよね。でも「Nuffield Health が 100 万人のメンバーに達したとき、」がまったく同じなので、機械翻訳+ポストエディットかもしれません。それにしても「集約」が「主役」って。

Edgeの機械翻訳機能がこのWebページの日本語版から学習した結果、まったく同じ日本語テキストが出力されるという可能性はあるのでしょうか。だったら全部既存のWebページと同じになるはずですよね。

ついでに、他にも気になった箇所があったので英語版を機械翻訳してみました。

Academy of motion artsの事例の概要です。まず現在のページの日本語版と英語版です。

映画のイノベーション

オンプレミスのインフラストラクチャをクラウドに移行した後、Academy of Motion Picture Arts and Science (映画芸術科学アカデミー) は、 Azure AD External Identities に依存してメンバー向けの Web アプリとモバイル アプリの ID とアクセス管理を処理しています。

Innovations in cinema

After migrating its on-premises infrastructure to the cloud, the Academy of Motion Picture Arts and Sciences relies on Azure AD External Identities to handle identity and access management for its member-facing web and mobile apps.

動詞relyには確かに「依存する」という意味がありますが、こういう文脈で「依存する」を使うとあまりポジティブな感じがしないんですよね。Edgeで英語から日本語に翻訳した結果は次のとおりです。

映画におけるイノベーション

オンプレミスのインフラストラクチャをクラウドに移行した後、映画芸術科学アカデミーは、Azure AD 外部 ID を使用して、メンバー向けの Web アプリとモバイル アプリの ID とアクセス管理を処理します。

「使用して」という、無難な表現が使われていますね。頼りにしているという意味を表現するのは難しいか。

ページ先頭に戻って、「Azure Active Directory External Identities」という製品名のすぐ下にあるテキストです。

組織を超えて顧客とパートナーの ID をセキュリティで保護し、管理します。

Secure and manage customer and partner identities beyond your organization.

Edgeで英語から日本語に翻訳した結果は次のとおりです。

組織外の顧客とパートナーの ID をセキュリティで保護し、管理します。

「組織を超えて」というあいまいな表現よりも意味がわかりやすいですね。英文だと製品名にexternalが入っていて「外部」なのは既にわかっているから、beyondという表現を使ったのかもしれません。

次は、この製品でできることの説明です。現在のページの日本語版と英語版です。

従業員をどこからでも接続する
オンサイト従業員とリモート 従業員の両方が、どこからでも生産性を維持できるように、すべてのアプリにシームレスにアクセスできるようにします。ワークフローを自動化して、ユーザーのライフサイクル管理とプロビジョニングを容易にします。外部ユーザー向けのセルフサービス ID 管理により、管理者の時間とリソースを節約できます。

Connect your workforce anywhere
Give both onsite and remote employees seamless access to all their apps so they can stay productive anywhere. Automate workflows for easy user lifecycle management and provisioning. Save admin time and resources with self-service identity management for external users.

「従業員を接続する」って、物じゃないんだから。機械翻訳の出力は次のとおりです。

どこにいても従業員をつなぐ

オンサイトとリモートの両方の従業員がすべてのアプリにシームレスにアクセスできるようにすることで、どこでも生産性を維持できます。ワークフローを自動化して、ユーザーのライフサイクル管理とプロビジョニングを容易にします。外部ユーザーのセルフサービス ID 管理により、管理者の時間とリソースを節約できます。

「ワークフローを自動化して、ユーザーのライフサイクル管理とプロビジョニングを容易にします。」は全く同じですね。どうして機械翻訳の「オンサイトとリモートの両方の従業員が」というすっきりした表現が、人間翻訳では「オンサイト従業員とリモート 従業員の両方が」というくどい表現に変わるのでしょう。しかも「リモート」と「従業員」の間に半角スペースがありますよ。

機械翻訳の出力は英文と同じ順序で、この機能でできることとその効果を述べているのに、人間翻訳ではわざわざ順序を入れ替えて「オンサイト従業員とリモート 従業員の両方が、どこからでも生産性を維持できるように、すべてのアプリにシームレスにアクセスできるように」というわかりにくい文章にする必要はあったのでしょうか。

せっかくなので他にも。これもこの製品でできることの説明です。現在のページの日本語版と英語版です。

ID ワークフローをアプリに統合する

シングル サインオンとユーザー プロビジョニングをサポートすれば、お客様のエンタープライズ アプリケーションが加速します。サインインの手間を減らし、ユーザー アカウントの作成、削除、メンテナンスを自動化します。

Integrate identity workflow into your apps

Accelerate adoption of your enterprise application by supporting single sign-on and user provisioning. Reduce sign-in friction and automate the creation, removal, and maintenance of user accounts.

機械翻訳の出力は次のとおりです。

ID ワークフローをアプリに統合する
シングルサインオンとユーザープロビジョニングをサポートすることで、エンタープライズアプリケーションの導入を迅速化します。サインインの摩擦を軽減し、ユーザー アカウントの作成、削除、および保守を自動化します。

人間翻訳の「…をサポートすれば、お客様のエンタープライズ アプリケーションが加速します」という妙な表現は、adoptionの訳が抜けた結果なのですね。「すれば」の意味はどこから出てきたのだろう。

主語のない英文をどう訳すか

引き続き、MicrosoftのCognitive Servicesのページを読んでいて感じたことです。

Cognitive Services - AI ソリューション向け API | Microsoft Azure

Azure AI サービスのファミリ全体を確認する

Azure AI サービスを使用して、ミッション クリティカルな AI ソリューションをお客様の条件に基づいて責任をもって構築します。

ページの中程にある、前後の部分とは背景色が異なるセクションの冒頭にあるテキストですが、この「構築します」は誰がすることなのでしょうか。この下にはAzure Applied AI ServicesとAzure Machine Learningの2つのサービス名とその簡単な説明があります。「お客様の条件に基づいて責任をもって構築します」ということは、Microsoftがその2つのサービスを使って構築するのでしょうか。

英語版を見てみます。

Cognitive Services—APIs for AI Solutions | Microsoft Azure

Explore the whole family of Azure AI services

Build mission-critical AI solutions responsibly and on your terms with Azure AI services.

Microsoftが構築するのならこうは書きませんよね。Buildするのはこれを読んでいるあなたです。

ソフトウェアの操作マニュアルなら、命令形で書かれている手順を「~します」という文型で訳すのが一般的です。「してください」だとくどいし。そのやり方をこのページに当てはめてしまってよかったのでしょうか。読んでいるあなたがすることですよ、という意図が伝わるように訳さないと、ただの独り言です。独り言ならまだいいのですが、「お客様の条件に基づいて」という文言が入ってしまうと、暗黙的に「私たちが」を強調していることになりませんか?

この英文で何を言いたいかというと、ミッションクリティカルなAIソリューションの構築を、責任を持って、あなたの思いどおりに行うにはAzure AI servicesをお使いくださいということですよね。

手っ取り早い改善方法としては、「構築します」を「構築できます」に変えることでしょうか。そうするには、文頭の「Azure AI サービスを使用して」を「Azure AI サービスを使用すると」に変えなければなりません。

Azure AI サービスを使用すると、ミッション クリティカルな AI ソリューションをお客様の条件に基づいて責任をもって構築することができます。

「これを使えば構築できる」と言い切ってしまうと、原文の意図から離れてしまうんですよね。頭から訳してはいけませんか?

ここまで書いてから、このページを改めて見てみたら、すぐ上にこういうセクションがあったのですね。

お客様独自の Azure AI ソリューションを構築する

実践者向けに特別に設計されたリソースで、AI の基本的な概念を学び、実際に体験し、最新の AI 製品を探索することができます。

Build your own Azure AI solutions

Learn essential AI concepts, get hands-on experience, and explore the latest AI products with resources designed specifically for practitioners.

Cognitive Servicesとは何で、どういうメリットがあるかという説明に続いて、実際に使う方法を説明する開発者用リソースを示し、その後に具体的な製品を紹介しているわけですね。だからやはり、「構築します」という独り言文体ではなくて、読み手に呼びかけるような文章にしたほうがよいと思います。「Azure AI サービスのファミリ全体を確認する」という意味不明な見出しも、もうちょっとなんとかしたほうがいいですね。英語版では「Explore the whole family of Azure AI services」です。

訳文だけ読んで理解できますか?

引き続き、MicrosoftのCognitive Servicesのページで気になった点を挙げてみます。UBERの事例です。

Cognitive Services - AI ソリューション向け API | Microsoft Azure

顔認識によってプラットフォームのセキュリティが大幅に向上

Uber は Cognitive Services を使用して、アプリを使用しているドライバーが、記録されているアカウントと一致していることを確認できるようにして、不正行為を防いでいます。

CEOでもプロダクトマネージャーでもいいのですが、自分がこの製品をプレゼンする立場になったつもりで訳文を読んでみるといいと思います。「Uber は Cognitive Services を使用して、」から「不正行為を防いでいます。」までが長すぎませんか? アプリを使用しているドライバーが何の一致を確認できるようにしているのか、聞いた人は理解できますか?

英語版を見てみましょう。

Cognitive Services—APIs for AI Solutions | Microsoft Azure

Facial recognition boosts platform security

Uber uses Cognitive Services to safeguard against fraud by helping to ensure that the driver using the app matches the account on file.

Uberは不正行為防止のためにCognitive Servicesを使っているのですね。アプリを使うドライバーと、登録された情報とが一致していることを確認するのにCognitive Servicesが使われていると。ここはCognitive Servicesの事例のページなのだから、何の目的で使われているかを先に述べた方がいいと思うんですよね。具体的な方法はその後でも。たとえば、「Uberは不正行為防止を目的としてCognitive Servicesを使用しています。アプリを使用するドライバーと記録されているアカウントとが一致していることを確認するのにこのサービスを活用しています」のように。リンク先のページを見ると、Uberはドライバーの本人確認のために定期的に自撮りポートレートを送らせているのですが、登録時の写真と照合するのにAIが活躍しているというわけですね。

プレゼンする立場になったとしてこの英文を読み上げたら、Uber uses Cognitive Services to safeguard against fraudでいったん切りますよね? だから日本語でも同じ順序で述べるのが一番わかりやすいと思うのですが、どうもセンテンスを分けるのはあまり好まれないようです。

あと、「不正行為を防いでいます。」を文末に置いてしまっていいのでしょうか。これのおかげで不正行為が1件も起きていなければ「防いでいます」と断言できますが。