matchという動詞は、「一致する」あるいは「マッチする」と訳されていることが多いようですが、こう訳せるのはA matches Bのときぐらいで、他のパターンのときはもうちょっと工夫が必要であると先日のレビューの仕事で感じました。似たような文章をWebで探して見つかったのが下記のページです。
このオブジェクトは、任意の文字シーケンスとこの正規表現をマッチできます。
http://java.sun.com/j2se/1.5.0/ja/docs/ja/api/java/util/regex/Pattern.html
「マッチできる」とは一体どういう状況を指すのかと思って国語辞典で「マッチ」を引いてみると、
調和がとれていること。ぴったり合っていること。「洋服と靴がよく―している」(大辞林)
と書かれています。つまり、普通は自動詞として使うので、「任意の文字シーケンスとこの正規表現をマッチする」という表現はちょっと不自然です。
英語版(http://java.sun.com/j2se/1.5.0/docs/api/java/util/regex/Pattern.html)では、
A regular expression, specified as a string, must first be compiled into an instance of this class. The resulting pattern can then be used to create a Matcher object that can match arbitrary character sequences against the regular expression.
です。
ウィズダム英和辞典にはmatch A against Bの説明として「(1)(合うかどうか)A〈物〉をB〈物〉と比べる, 照合する」と書かれていますが、これを「マッチする」の一言で済ませるのはちょっと強引な感じがします。
ちなみに、match arbitrary character sequences against the regular expressionを実際に行うにはmatchesというメソッドを使うようですが、そのメソッドの説明も「領域全体をこのパターンとマッチします。」でやや意味不明です。http://www.atmarkit.co.jp/fjava/javatips/108java016.htmlには
「javaまたはclassという拡張子が付いたファイル名を表す正規表現」と、入力文字列全体がマッチするかを「matches(マッチ)」によって調べる
と書かれていますが、リファレンスの方でももうちょっと説明の補足が必要ではないかと思います。