「結論→理由」を「理由→結論」にするとおかしくなる例

念のために書いておきますが、私は変な訳の指摘を趣味にしているわけではありません。ふだんの翻訳レビューの仕事で見かけるのと同じ傾向がWebの記事にも現れているので、「なぜ多くの翻訳者がそういう訳し方をするのだろうか」を考えるための例として引用しています。
昨日と同様の例として、“アップルを支える「iPhone」と「Mac」--好調維持の第3四半期決算を振り返る”という記事(http://japan.cnet.com/special/story/0,2000056049,20397051,00.htm)の2ページめ、「過渡期のiPod」の第2段落を引用します。

Appleは、第3四半期に1020万台のiPodを販売した。これに対し、前年同期は1100万台だった。「iPod shuffle」「iPod nano」「iPod Classic」のアピールが移り変わっていることが、この減少の原因であることが分かる。しかしAppleには、こうなることが前から分かっていたようだ。Oppenheimer氏は、これらの売り上げの減少が「『iPod touch』を開発した理由だ。iPod touchiPhoneが自社製品の売り上げを奪っているので、Appleの従来のMP3プレーヤーは次第に減少していくことを見込んでいる」と述べる。

英語版(http://news.cnet.com/8301-13579_3-10292380-37.html)では、次のように書かれています。

During the third quarter, Apple sold 10.2 million iPods, compared with 11 million a year ago. It turns out that the shifting appeal of the Shuffle, Nano, and Classic model iPods are to blame. But Apple apparently saw this coming. Those declining sales are "the reason we developed the iPod Touch," Oppenheimer said. "We expect our traditional MP3 players to decline overtime as we cannibalize ourselves with iPod Touch and iPhone."

as以降の部分が日本語訳では先頭に来ていますが、これでは述語である「見込んでいる」を強調したかったことになってしまいます。理由を後で述べようとするとどうしても、「前から販売しているMP3プレーヤーの売上が落ちていくのは想定していたこと。同じアップルのiPod touchiPhoneに食われてるんだから」のように文が2つになってしまいますが、しかたがないことです。話し言葉ならなおさら、原文のリズムというか調子を訳文にも生かすべきだと思います。