IT翻訳者の疑問

この業界に入って約20年。私の疑問は相変わらず解決しません。

HTTP(S) 負荷分散、SSL プロキシ負荷分散、TCP プロキシ負荷分散

https://cloud.google.com/compute/docs/load-balancing/ipv6?hl=ja
HTTP(S) 負荷分散、SSL プロキシ負荷分散、TCP プロキシ負荷分散のための IPv6 ターミネーション

https://cloud.google.com/compute/docs/load-balancing/ipv6?hl=en
IPv6 Termination for HTTP(S), SSL Proxy, and TCP Proxy Load Balancing

 

Google Cloud Platform(GCP)の HTTP(S) 負荷分散、SSL プロキシ負荷分散、および TCP プロキシ負荷分散では、IPv6 クライアントもサポートされています。ロードバランサは、ユーザーからの IPv6 接続を受け入れ、インスタンスに対してこの接続を送信します。

Google Cloud Platform (GCP) supports IPv6 clients with HTTP(S), SSL proxy, and TCP proxy load balancing. The load balancer accepts IPv6 connections from your users, then proxies those connections to your instances.

 

HTTP(S) ロードバランサ、SSL プロキシ ロードバランサ、TCP プロキシ ロードバランサに対し、IPv4 アドレスと IPv6 アドレスの両方を設定できます。

You can configure both IPv4 and IPv6 external addresses for HTTP(S), SSL proxy, and TCP proxy load balancers.

負荷分散のタイプが3つあるようですが、くどすぎませんか。

2 GBのRAMを搭載し、1024x768のモニタ解像度を備えたIntelまたはIntel互換のCPUベースのコンピュータ

http://www.sdltrados.com/jp/products/trados-studio/system-requirements.html
最小要件として、2 GBのRAMを搭載し、1024x768のモニタ解像度を備えたIntelまたはIntel互換のCPUベースのコンピュータを推奨します。

http://www.sdltrados.com/products/trados-studio/system-requirements.html
As a minimum requirement, we recommend an Intel or compatible CPU-based computer with 4 GB RAM and a screen resolution of 1024x768.

 

あなたはラーメン屋でオプションを先に注文するのですか? と聞きたい。

田中千鶴香さん

このブログにコメントをくださったこともある(http://d.hatena.ne.jp/jacquelinet/20130325#c田中千鶴香さんの訃報を数日前に知りました。主にネットでの交流しかありませんでしたが、Tradosを使おうとするとPCがやたらとクラッシュしていた頃から活躍されていたのはよく知っています。翻訳会社に言われるまま仕事をするのではなく、翻訳者もきちんと意見を述べていくという流れができたのは田中さんの功績があるからだと思います。私などは自分のことで一杯一杯なのに、勉強会を開いたりJTFの理事を務めたり、幅広く活動なさっていて本当に頭が下がる思いでした。同業者と名乗るのは気恥ずかしくなるほど末端の存在の私ですが、田中さんが残してくださったものを忘れないようにしたいと思います。心からご冥福をお祈りします。

10年前と比べて

このブログの最初の記事を書いてから、10年以上たっていました。早いものですね。最近は1年以上放置していたので「10周年」とはいえませんが、10年前と今を比べてみたいと思います。
私自身はIT専門の英日翻訳の仕事をしていることに変わりはありませんが、仕事の内容はかなり変化しました。翻訳支援ツールを使ってバイリンガルファイルを納品することは10年前と同じですが、さすがにTrados Workbench+Wordの案件は絶滅し、TagEditorを使うことも少なくなりました。かといって使うのはTrados Studioばかりというわけでもなく、新しい翻訳メモリーツールやクライアント企業が独自に開発したツールが増えました。
私自身に限っていえば、仕事の内容が大きく変わったのはワークフロー自動化が登場したときからだと思います。コンテンツ管理システムのせいかもしれませんが、少量短期の案件が増えました。もちろんそんなのを在宅でやっていたら儲からないので、オンサイトでしかやりませんが。かつては、製品のUIにしてもWebサイトのコンテンツにしても、クライアント企業はある程度まとまった量で翻訳会社に委託していたと思いますが、最近ではファイルを変更するそばから次々翻訳ベンダーにハンドオフしているプロジェクトも多くなりました。もちろん翻訳メモリー100%マッチ分は作業対象外なので、下手すると1ファイル当たりの作業対象ワード数が1桁ということもあります。機械翻訳を使うプロジェクトだと、MTの出力は大して使えないくせに単価を割り引いてくるし。
もちろん数万ワード単位のまとまった量の翻訳案件は今でもあるので、在宅では主にそちらをしていますが、いつまでフリーでやっていけるのだろう。10年後も今と同じように仕事ができていたら、結構幸せなのではないのかなと思います。

「原文に忠実に訳せ」という指示

そのうち何か書こうと思っているうちに、1年以上放置していました。いろいろ思うことはあるのですが、大体は過去に書いたことなんですよね。最近も、ある案件のフィードバックに書かれていた推奨訳が「柔軟性を提供します」式の逐語訳でした。こちらはあれこれ考えてそれらしい日本語にしたのに……1年前も同じことを書いていますね。
それだけならともかく、「原文に忠実に訳せ」というご指導があったのでびっくりしました。そういう訳し方をする人がいるのは知っていますが、そう訳せと明言されたのは初めてです。英語と日本語はまったく違う言語なのに、単語単位で置き換えたところで「忠実に」訳せるわけがありませんよね。日本語には定冠詞も不定冠詞も前置詞も関係代名詞もないし、日本語の助詞は英語にはありません。さすがに言っていることがナンセンスすぎるので抗議したら、翻訳会社の人は理解してくれたようですが、どうもそういうレビュアーは一人だけではないらしいのでこの先も不安です。そういう訳し方ってどこで教わったのだろう?

中間ベンダーによるレビューの意義

最近では、私のところにくる翻訳の仕事のかなりの部分が、ソースクライアント→MLV→日本国内の翻訳会社→私という流れになっています。間にMLVが入っても入らなくても、直接の取引先である翻訳会社との仕事のやり方はほとんど変わらないのですが、時々MLVからのフィードバックというのを見せられて、これに合わせてくださいと言われて困ってしまうことがあります。なぜなら、フィードバックに書かれている推奨訳が変な訳だったりするからです。どのように変かというと、これまでにここに書いたような感じのものです。
MLVのレビュアーといっても、特別なスキルがあるとは限りません。日本オフィスのシニアトランスレーターといった肩書きの人ならば、それなりにスキルが高く、レビューにも責任を持てるでしょう。しかし最近では、外部の翻訳者にレビューを委託していることもあるようです。なぜなら、私もそのような仕事を頼まれたことがあるから。日本語へのローカライズ案件であっても、そのMLVの日本オフィスを通さず、MLVの海外オフィスから日本国内の翻訳会社に翻訳作業を委託することも最近は多いようです。MLVとしては、完全に丸投げというわけにもいかないので、レビュアーを探してきてサンプルチェックをさせるわけですね。でも限られた時間でのサンプルチェックで、本当に品質を保証できるのでしょうか?
レビュアーに与えられる時間はせいぜい2〜3時間なので、背景情報などを知る余裕はありません。それでドキュメントの一部だけを読んで、訳が正しいかどうかを判断できるのでしょうか。こちらがあれこれ考えて決めた訳が、「原文にcanがあるのに訳は『できる』になっていない」だの「afterの訳が『〜の後』でない」だのといった理由でエラー扱いされているとがっくりします。推奨訳が明らかな誤訳だったこともあります。
二次ベンダーとしては、一次ベンダーであるMLVが「お客様」なので、「お客様の好み」に合わせるのは当然だし、一度指摘されたエラーを繰り返してペナルティをくらったら大変です。だから二次ベンダーをやっているような翻訳会社は、フィードバックの内容が多少変でもそのまま受け入れるのでしょう。いつも疑問に思っていた、変な訳が流行する理由は、この辺にあるのかもしれません。でも私自身は、理不尽なエラー判定を黙って受け入れるわけにはいかないので、反論の機会があればきっちり反論します。間に入る翻訳会社には手間をとらせて申し訳ないと思いますが。