ソフトウェアのヘルプというのはそのソフトウェアを操作する人が読むものですが、ヘルプを訳す人はそのソフトウェアなど見たこともないというのはありがちです。というか、翻訳者がそのソフトウェアを操作できる環境が用意されていることの方が珍しい。UNIXやメインフレーム用のソフトウェアだとか、Windowsでもサーバー用だったりするとなかなか環境を用意するのも難しいと思いますが、個人ユーザー向けのWindowsアプリケーションぐらい、β版を最初から用意してほしいものです。以前参加したあるプロジェクトで、ソフトウェアの動作がどうにも想像しづらかったので、実機確認したいとPMに訴えたのですが、「クライアントがソフトウェアを支給してくれない」の一点張りでした。クライアントとの窓口は海外オフィスのアカウントマネージャー(AM)が務めていたらしいのですが、どうもそのAMが日本側の要求を理解していなかったみたいです。そのクライアントのWebサイトでは30日限定の試用版が公開されていたので(英語版はとっくに発売されていた)、自分でダウンロードしてきましたが、ローカリベンダーのくせに実機確認ができなくて当然って、なんか変です。
で、試用版をインストールして起動してみたら、それまで悩んでいたことが一気に解決しました。ソフトウェアのヘルプといっても「**メニューの**をクリックして表示されたダイアログボックスの**をクリックします」といった単純な文章ばかりではないのです。ややこしい操作に限って抽象的な書き方をしているものだから、実機確認しなかったらぼんやりした訳のまま世の中に出してしまうところでした。