IT翻訳者の疑問

この業界に入って約20年。私の疑問は相変わらず解決しません。

違和感のある「たりたり」の例

support.google.comこのヘルプ記事の最初の文です。

ネットワークを設定して Google Meet の使用を開始した後、音声と動画の品質を改善したり会議に接続したりするには、次の情報を確認します。

「音声と動画の品質を改善したり会議に接続したりする」に違和感があります。

「たりたり」は動作を列挙するときにいつでも使えるのでしょうか。いくつもの動作の中から例を挙げるとき、あるいは2つの動作を交互に行うことを表すときに使うものですよね。でも「音声と動画の品質を改善する」と「会議に接続する」が交互に行われるとは考えにくい。この2つの動作は同類とはいえないからです。では例を挙げているのかというと、「Google Meet の使用を開始した後」に行うことの代表例がこの2つというのもなんだか不自然です。

英語版を見てみましょう。

support.google.com

After you set up your network and start using Google Meet, use the following information to help with audio and video quality and connecting to meetings.

「to help with」を逐語訳できないので「品質を改善したり」と「改善」を補ってみたと推測されます。しかし、このトピックの本体に当たる部分には「Troubleshoot audio and video quality」と「Troubleshoot connecting to Meet」なので、「音声と動画の質や会議への接続について問題が発生した場合は、次に示す情報をご利用ください」とでもすればよかったのではと思います。