なんでも確認

この業界では、なぜか変な訳し方が流行することがあるのですが、最近急に増えてきたのが「ご確認ください」です。私自身が最近請ける仕事では、製品の見込み客向けのWebコンテンツなどが多いのですが、TMの過去訳を見ると必要以上に「ご確認ください」が使われているのが目につきます。

私の仕事とは全く関係はありませんが、SDL TradosのWebサイトでも似たような例が見つかります。

http://www.sdl.com/jp/software-and-services/translation-software/sdl-trados-studio/features.html

製品概要

SDL Trados Studio 2017の新機能

このドキュメントをダウンロードして、SDL Trados Studio 2017に導入された新機能をご確認ください。

 

製品概要

SDL Trados Studio 2017の言語とフィルタ

このガイドをダウンロードして、SDL Trados Studio 2017で使用可能な言語とフィルタについてご確認ください。
 
製品概要

SDL Trados Studio 2014からSDL Trados Studio 2017へのアップグレードをお勧めする理由

最新バージョンのSDL Trados Studioへのアップグレードをお勧めする理由をご確認ください。

英語版を見てみましょう。

http://www.sdl.com/software-and-services/translation-software/sdl-trados-studio/features.html

Product Brief

What's new in SDL Trados Studio 2017

Download this paper to discover the new features introduced in SDL Trados Studio 2017.
 
Product Brief

SDL Trados Studio 2017 Languages and Filters

Download this guide for the languages and filters supported by SDL Trados Studio 2017.

 

Product Brief

Reasons to upgrade from SDL Trados Studio 2014 to SDL Trados Studio 2017

Discover the reasons why you should upgrade to the latest version of SDL Trados Studio.
1番目と3番目はDiscoverという動詞を「確認する」と訳すことにしたらしいのですが、2番目はそうでもなさそうです。「ご確認ください」という表現でそれらしい文章に見せるという手法なのでしょうか。でも、なぜ新機能やアップグレードする理由を確かめないといけないのか。まるで新機能やアップグレードする理由を知っていて当然と言わんばかりです。見込み客の立場からすると少々変な感じがします。
こういう文脈で、downloadやdiscoverという動詞を律儀に訳出する必要はあるのでしょうか。ここでいいたいのは、ダウンロードできるドキュメントの内容ですよね。日本語では「~のガイドです」、「~する理由を説明します」という文章にしてしまってもよいのではと思います。
 

HTTP(S) 負荷分散、SSL プロキシ負荷分散、TCP プロキシ負荷分散

https://cloud.google.com/compute/docs/load-balancing/ipv6?hl=ja
HTTP(S) 負荷分散、SSL プロキシ負荷分散、TCP プロキシ負荷分散のための IPv6 ターミネーション

https://cloud.google.com/compute/docs/load-balancing/ipv6?hl=en
IPv6 Termination for HTTP(S), SSL Proxy, and TCP Proxy Load Balancing

 

Google Cloud Platform(GCP)の HTTP(S) 負荷分散、SSL プロキシ負荷分散、および TCP プロキシ負荷分散では、IPv6 クライアントもサポートされています。ロードバランサは、ユーザーからの IPv6 接続を受け入れ、インスタンスに対してこの接続を送信します。

Google Cloud Platform (GCP) supports IPv6 clients with HTTP(S), SSL proxy, and TCP proxy load balancing. The load balancer accepts IPv6 connections from your users, then proxies those connections to your instances.

 

HTTP(S) ロードバランサ、SSL プロキシ ロードバランサ、TCP プロキシ ロードバランサに対し、IPv4 アドレスと IPv6 アドレスの両方を設定できます。

You can configure both IPv4 and IPv6 external addresses for HTTP(S), SSL proxy, and TCP proxy load balancers.

負荷分散のタイプが3つあるようですが、くどすぎませんか。

2 GBのRAMを搭載し、1024x768のモニタ解像度を備えたIntelまたはIntel互換のCPUベースのコンピュータ

http://www.sdltrados.com/jp/products/trados-studio/system-requirements.html
最小要件として、2 GBのRAMを搭載し、1024x768のモニタ解像度を備えたIntelまたはIntel互換のCPUベースのコンピュータを推奨します。

http://www.sdltrados.com/products/trados-studio/system-requirements.html
As a minimum requirement, we recommend an Intel or compatible CPU-based computer with 4 GB RAM and a screen resolution of 1024x768.

 

あなたはラーメン屋でオプションを先に注文するのですか? と聞きたい。

はてなダイアリーから移行しました

新規開設の受け付けもそろそろ終了するとのことだったので、思い切って(といっても大した手間ではありませんが)はてなブログに移行しました。

田中千鶴香さん

このブログにコメントをくださったこともある(http://d.hatena.ne.jp/jacquelinet/20130325#c田中千鶴香さんの訃報を数日前に知りました。主にネットでの交流しかありませんでしたが、Tradosを使おうとするとPCがやたらとクラッシュしていた頃から活躍されていたのはよく知っています。翻訳会社に言われるまま仕事をするのではなく、翻訳者もきちんと意見を述べていくという流れができたのは田中さんの功績があるからだと思います。私などは自分のことで一杯一杯なのに、勉強会を開いたりJTFの理事を務めたり、幅広く活動なさっていて本当に頭が下がる思いでした。同業者と名乗るのは気恥ずかしくなるほど末端の存在の私ですが、田中さんが残してくださったものを忘れないようにしたいと思います。心からご冥福をお祈りします。

10年前と比べて

このブログの最初の記事を書いてから、10年以上たっていました。早いものですね。最近は1年以上放置していたので「10周年」とはいえませんが、10年前と今を比べてみたいと思います。
私自身はIT専門の英日翻訳の仕事をしていることに変わりはありませんが、仕事の内容はかなり変化しました。翻訳支援ツールを使ってバイリンガルファイルを納品することは10年前と同じですが、さすがにTrados Workbench+Wordの案件は絶滅し、TagEditorを使うことも少なくなりました。かといって使うのはTrados Studioばかりというわけでもなく、新しい翻訳メモリーツールやクライアント企業が独自に開発したツールが増えました。
私自身に限っていえば、仕事の内容が大きく変わったのはワークフロー自動化が登場したときからだと思います。コンテンツ管理システムのせいかもしれませんが、少量短期の案件が増えました。もちろんそんなのを在宅でやっていたら儲からないので、オンサイトでしかやりませんが。かつては、製品のUIにしてもWebサイトのコンテンツにしても、クライアント企業はある程度まとまった量で翻訳会社に委託していたと思いますが、最近ではファイルを変更するそばから次々翻訳ベンダーにハンドオフしているプロジェクトも多くなりました。もちろん翻訳メモリー100%マッチ分は作業対象外なので、下手すると1ファイル当たりの作業対象ワード数が1桁ということもあります。機械翻訳を使うプロジェクトだと、MTの出力は大して使えないくせに単価を割り引いてくるし。
もちろん数万ワード単位のまとまった量の翻訳案件は今でもあるので、在宅では主にそちらをしていますが、いつまでフリーでやっていけるのだろう。10年後も今と同じように仕事ができていたら、結構幸せなのではないのかなと思います。

「原文に忠実に訳せ」という指示

そのうち何か書こうと思っているうちに、1年以上放置していました。いろいろ思うことはあるのですが、大体は過去に書いたことなんですよね。最近も、ある案件のフィードバックに書かれていた推奨訳が「柔軟性を提供します」式の逐語訳でした。こちらはあれこれ考えてそれらしい日本語にしたのに……1年前も同じことを書いていますね。
それだけならともかく、「原文に忠実に訳せ」というご指導があったのでびっくりしました。そういう訳し方をする人がいるのは知っていますが、そう訳せと明言されたのは初めてです。英語と日本語はまったく違う言語なのに、単語単位で置き換えたところで「忠実に」訳せるわけがありませんよね。日本語には定冠詞も不定冠詞も前置詞も関係代名詞もないし、日本語の助詞は英語にはありません。さすがに言っていることがナンセンスすぎるので抗議したら、翻訳会社の人は理解してくれたようですが、どうもそういうレビュアーは一人だけではないらしいのでこの先も不安です。そういう訳し方ってどこで教わったのだろう?