翻訳メモリは当てになるか

現在レビュー(プルーフリーディング)している訳文はHTML形式のヘルプなのですが、ファイルごとに、旧バージョンからほとんど変更がないものと今回のバージョンで新規追加されたものがはっきりしているので、重点的にチェックするファイルの切り分けができるのが助かります。で、旧バージョンからほとんど変更がないファイルはざっと眺めるだけにしていたのですが、とんでもない誤変換が残っていました。前のバージョンのときは何をやっていたんだ? と思いつつ、旧版のHTMLファイルを開いてみたら、そんな誤変換はありません。翻訳メモリを検索したら、旧バージョンからの流用分にその誤変換がありました。
「旧バージョンからほとんど変更がない」ので、バイリンガルファイルを使って翻訳するときはほとんどが100%マッチでメモリから取得できるのですが、翻訳を担当した人は気付かなかったのでしょうか。メモリにあるのだからこれが正しい表現だと思い込んでいたのかもしれません。100%マッチは支払いしないからいじるなと言われたら手出しできないですね。しかし、ローカライズの仕事をしばらくやってみればわかりますが、翻訳メモリの訳というのは意外と当てになりません。バイリンガルファイルの段階はよいとして、クリーンアップ後に訳文を修正したらHTMLファイルと翻訳メモリの両方に修正を反映しなければならないのですが、HTMLだけ修正しておしまいということも結構あるようなのです。以前、ある翻訳支援ツールのマニュアルのアップデートの仕事を引き受けたときもそうでした。当然その支援ツールを使って翻訳するわけですが、旧版のPDFとメモリの内容が微妙に違っていたのです。ツールの開発元ですらその有様、というか、翻訳支援ツールを使ったワークフローを紹介しているWebサイトなどでも、クリーンアップ後の校正結果の反映のことはあまり書かれていないですね。
場合によっては、翻訳会社がクライアントに最終納品した後にクライアント側で訳文に手を入れることもあるようです。Wordぐらいなら誰でも修正できるし。そうなると、翻訳メモリへの反映のしようがないですね。