IT翻訳者の疑問

この業界に入って約20年。私の疑問は相変わらず解決しません。

することで、することで

「搭載」と「することで」が2回ずつ使われていますが、書いている側は気にならなかったのでしょうか。「ライフスタイルやワークスタイル」も。

人はいつからユーザーになるのか

support.google.com

この記事の冒頭部分にある「ユーザー」は、英語版ではuserではありません。

support.google.com

Someoneをそのまま「誰か」と訳すにはいかないのでこうしたのだと推測されますが、そのsomeoneは「ユーザー」なのでしょうか?何の「ユーザー」? この記事の読者はGmailユーザーですが、その人が受け取るメールの送信者はGmailを使っているとは限らない。「他の人があなたにメールを送信する際に」ではいけないのでしょうか?

こういう例は最近よく見かけるのですが、この業界ではなぜか人を人と表現したがらないようです。スタイルガイドにある「youを『あなた』と訳出しない」という指示にきっちり従い、「あなた」の代わりに「ユーザー」を使うという習慣がずっと残っているのかもしれません。

 

 

英日翻訳の仕事をしている人はどこで翻訳の勉強をしたのか

私はIT業界から転職するにあたり、半年ほど技術翻訳の学校に通いましたが、そこで「頭から訳す」というやり方(「訳し下げ」という呼び方のほうがよいのでしょうか?)を教わりました。実際に翻訳の仕事をするようになってから、その「頭から訳す」を知らないと思われる人の訳を時々目にするのですが、他の人はいったいどうやって翻訳のしかたを学んでいるのでしょうか。
その「頭から訳す」を知らない人が翻訳者だったらまだしも、翻訳会社や発注元企業のレビュアーだったりするとやっかいです。こちらは「頭から訳す」のが最善と考えて訳文を仕上げたのに、LQAレビューでaccuracyのエラーと判定されてsuggestionとしてガチガチの「後ろから訳した」(訳し上げ)訳が入っているのを見るとがっくりします。それで引き下がってはいけないので反論しますけどね。
学校に行こうが行くまいが、翻訳者もレビュアーも英日翻訳のプロとしてやっていくレベルのスキルを身につけていれば問題ないのですが、なぜ業界内でこうもばらつきがあるのでしょうね。

なんでも確認

この業界では、なぜか変な訳し方が流行することがあるのですが、最近急に増えてきたのが「ご確認ください」です。私自身が最近請ける仕事では、製品の見込み客向けのWebコンテンツなどが多いのですが、TMの過去訳を見ると必要以上に「ご確認ください」が使われているのが目につきます。

私の仕事とは全く関係はありませんが、SDL TradosのWebサイトでも似たような例が見つかります。

http://www.sdl.com/jp/software-and-services/translation-software/sdl-trados-studio/features.html

製品概要

SDL Trados Studio 2017の新機能

このドキュメントをダウンロードして、SDL Trados Studio 2017に導入された新機能をご確認ください。

 

製品概要

SDL Trados Studio 2017の言語とフィルタ

このガイドをダウンロードして、SDL Trados Studio 2017で使用可能な言語とフィルタについてご確認ください。
 
製品概要

SDL Trados Studio 2014からSDL Trados Studio 2017へのアップグレードをお勧めする理由

最新バージョンのSDL Trados Studioへのアップグレードをお勧めする理由をご確認ください。

英語版を見てみましょう。

http://www.sdl.com/software-and-services/translation-software/sdl-trados-studio/features.html

Product Brief

What's new in SDL Trados Studio 2017

Download this paper to discover the new features introduced in SDL Trados Studio 2017.
 
Product Brief

SDL Trados Studio 2017 Languages and Filters

Download this guide for the languages and filters supported by SDL Trados Studio 2017.

 

Product Brief

Reasons to upgrade from SDL Trados Studio 2014 to SDL Trados Studio 2017

Discover the reasons why you should upgrade to the latest version of SDL Trados Studio.
1番目と3番目はDiscoverという動詞を「確認する」と訳すことにしたらしいのですが、2番目はそうでもなさそうです。「ご確認ください」という表現でそれらしい文章に見せるという手法なのでしょうか。でも、なぜ新機能やアップグレードする理由を確かめないといけないのか。まるで新機能やアップグレードする理由を知っていて当然と言わんばかりです。見込み客の立場からすると少々変な感じがします。
こういう文脈で、downloadやdiscoverという動詞を律儀に訳出する必要はあるのでしょうか。ここでいいたいのは、ダウンロードできるドキュメントの内容ですよね。日本語では「~のガイドです」、「~する理由を説明します」という文章にしてしまってもよいのではと思います。
 

HTTP(S) 負荷分散、SSL プロキシ負荷分散、TCP プロキシ負荷分散

https://cloud.google.com/compute/docs/load-balancing/ipv6?hl=ja
HTTP(S) 負荷分散、SSL プロキシ負荷分散、TCP プロキシ負荷分散のための IPv6 ターミネーション

https://cloud.google.com/compute/docs/load-balancing/ipv6?hl=en
IPv6 Termination for HTTP(S), SSL Proxy, and TCP Proxy Load Balancing

 

Google Cloud Platform(GCP)の HTTP(S) 負荷分散、SSL プロキシ負荷分散、および TCP プロキシ負荷分散では、IPv6 クライアントもサポートされています。ロードバランサは、ユーザーからの IPv6 接続を受け入れ、インスタンスに対してこの接続を送信します。

Google Cloud Platform (GCP) supports IPv6 clients with HTTP(S), SSL proxy, and TCP proxy load balancing. The load balancer accepts IPv6 connections from your users, then proxies those connections to your instances.

 

HTTP(S) ロードバランサ、SSL プロキシ ロードバランサ、TCP プロキシ ロードバランサに対し、IPv4 アドレスと IPv6 アドレスの両方を設定できます。

You can configure both IPv4 and IPv6 external addresses for HTTP(S), SSL proxy, and TCP proxy load balancers.

負荷分散のタイプが3つあるようですが、くどすぎませんか。

2 GBのRAMを搭載し、1024x768のモニタ解像度を備えたIntelまたはIntel互換のCPUベースのコンピュータ

http://www.sdltrados.com/jp/products/trados-studio/system-requirements.html
最小要件として、2 GBのRAMを搭載し、1024x768のモニタ解像度を備えたIntelまたはIntel互換のCPUベースのコンピュータを推奨します。

http://www.sdltrados.com/products/trados-studio/system-requirements.html
As a minimum requirement, we recommend an Intel or compatible CPU-based computer with 4 GB RAM and a screen resolution of 1024x768.

 

あなたはラーメン屋でオプションを先に注文するのですか? と聞きたい。