「アプリケーションは、1から100の整数を指定してください」

ある製品のAPIのリファレンスマニュアルのアップデートをしているのですが、相変わらず翻訳メモリの訳がなんか変です。原文で、「An application calls function_A to perform xxx...」のような「application」を主語とする書き方が多用されていて、そのほとんどで「アプリケーションは、xxxを実行するためにfunction_Aを呼び出します」のように「アプリケーション」が訳出されているので、非常に鬱陶しい。アプリケーションの動作とAPIの動作を区別するときは訳出が必要ですが、このマニュアルはAPIを使ってアプリケーションを開発するプログラマー向けのもので、アプリケーションが呼び出すのは当たり前なので、いちいち訳出しなくてもよいと思うのです。
しかも、スタイルガイドで「mustは“してください”と訳す」などと指示されているせいか、function_Bという関数の説明である

An application calls function_B to set the percentage for xxxx. The application must specify an integer between 0 and 100 for Arg1.

といった文章が、

アプリケーションは、xxxのパーセンテージを設定するためにfunction_Bを呼び出します。アプリケーションは、Arg1に1から100の整数を指定してください。

などと訳されています。こういう、翻訳手法の領域に入る事項までスタイルガイドに書かれていることはよくありますが、バリエーションをあまり考慮しておらず、例文すら示していないものもたまにあります。その規則をむりやり当てはめた結果、訳文が読みにくくなってしまうのでは、何のためのスタイルガイドだかよくわかりません。
「〜は〜してください」という言い方をどういうときに使うかというと、たとえば小学校の行事終了後の「6年生は椅子を片付けてください。5年生は机を片付けてください」といったアナウンスが思いつきますが、つまりは聞き手全員ではなくて、その一部に「〜してください」と命じているんですよね。アプリケーション以外の誰がfunction_Bを呼び出すのか知りませんが、ここで言いたいのは「アプリケーション」がどうこうではなく、「arg1には0〜100の整数を指定しなければならない」ということであるので、「アプリケーションは、」を省略してよいと思います。