翻訳メモリの共有

最近は一次翻訳の段階からオンラインで翻訳メモリ(TM)を共有することが流行っているらしく、現在私が参加しているプロジェクトでもインターネット経由でTMを共有しています。TM共有はいろいろ面倒くさいのですが、仕方ないですね。すべて新規翻訳なので、空のメモリをローカルに置いて使ってもよさそうなのですが。
翻訳会社のWebサイトなどを見ると、「翻訳メモリを共有して訳文の統一を図っています」などと書かれていますが、現実には、翻訳者がTMを共有しただけでは統一は無理です。
たとえば、

This option can be used to install XXXX on a remote computer.
このオプションは、XXXX をリモートコンピュータにインストールするのに使用できます。

などという文章が既にTMに登録されていて、これとまったく同じ文章が私の担当ファイルにもあったとします。このセグメントを開くと「このオプションは、…使用できます」という訳が100%マッチで入ってくるのですが、私はそのままでは使いたくないので

このオプションを使用すると、XXXX をリモートコンピュータにインストールできます。

などと変更します。他の人がTMに登録した訳を上書きしてしまうと問題になるかもしれないので、別の翻訳単位として登録するのですが、1つの原文に対して訳文が2つ存在することになってしまいます。つまり、統一されていないのですが、現時点ではこれ以上どうしようもないです。在宅だと、最初の訳を登録した人と相談するわけにもいかないし。プロジェクトによっては、他の人がTMに登録した訳を変更したいときは報告せよと言われたりしますが、はっきりいって面倒くさいです。TMに訳が登録されていても、まだ見直し前かもしれませんし…と言うと、訳が確定するまでTMに登録するな(=一度登録した訳を変更するな)と言われそうですが、納品までは時間の許す限り見直しをするので、無理です。
翻訳者は、自分の担当の文脈でベストだと思う訳を登録しておくだけにしておいて、どちらの訳に統一するのか(あるいは文脈次第で両方残すのか)は後の工程(編集)で判断していただいた方が早いと思います。