原文の誤り

あるソフトウェアでMS WordのファイルとMS Excelのファイルが読み込み可能であったとします。Word用の説明をコピー&ペーストして作ったと思われるExcel用の説明の中に「Select the Word file.」という文章があったらどうするか。そのまま「Wordファイルを選択します。」と訳すのではなくて、「Excelファイルを選択します」と訳しますよね。最終的なHTMLファイルあるいはFrameMakerファイル上ではそれでよいとして、問題はバイリンガルファイルと翻訳メモリです。
「Select the Word file.」という文章の訳として「Wordファイルを選択します。」と「Excelファイルを選択します」の2つが存在するのは、よろしくない状態です。同じ原文に対して複数の訳文を登録できるようにメモリが設定されていればまだよいのですが、原文と訳文が常に1:1になるようなメモリだと、「Select the Word file.」の訳として「Excelファイルを選択します」だけが残ってしまうこともあり得ます。で、次回のアップデートのときの自動翻訳で、Wordの説明文の中でも「Excelファイルを選択します」という訳が採用されてしまうと。
「翻訳支援ツールを使えば翻訳作業を合理化できる」というのは、原文に不備がないことが大前提ですが、現実はこんなもんです。当然、Excel用の手順説明の中の「Select the Word file.」という文章は誤りであるというレポートはソースクライアントに提出しているのですが、クライアントの日本語ローカライズ担当者から原文のライターに報告が行っていないことが多いようです。マニュアルのアップデートを引き受けたときに、前のバージョンで報告したはずの原文エラーがそのままになっているとがっくりします。最近は100%マッチで流用される部分には手出しできないことも多いですしね。