IT翻訳者の疑問

この業界に入って約20年。私の疑問は相変わらず解決しません。

HTMLヘルプ

私はHTMLヘルプの翻訳の仕事が嫌いです。HTMLのタグにアレルギーがあるというわけではありません。翻訳対象のファイルはたいてい、1つあたりのワード数が少なく、ファイル数がやたら多いからです。
ファイルがなんらかの論理的な順序で並んでいるのならまだしも、Setting_a_file_using_wizard.htmのようなタイトルがそのままファイル名になっていると、ファイルを順番に開いても話題が連続していないので何の話かを理解するのに苦労します。全部一人で訳すことになっているのなら目次の順に合わせて翻訳を進めますが、何人かで分担するときは、アルファベット順のファイル一覧上で合計ワード数が適当な大きさになるように単純に区切られることが多いようです。目次のくくりに合わせて割り振ってくれればよいのですが、元のフォルダ構造がそうなっていない以上、無理な話です。
小さいファイルを開いたり閉じたりする手間というのも馬鹿になりません。何もHTMLファイルの形式で翻訳しなくてもよいと思うのですが、WinHelpのソースのように、1つのファイルに複数のトピックを入れるという形にできないものでしょうか。
ハイパーリンクのテキストが別のトピックのタイトルであるときに、リンク先が自分の担当外だと、確定訳がわからないのでコメントを残したりしなければならないのも面倒です。FrameMakerの相互参照のような機能を利用できれば、何もしなくていいんですけどね。
一番腹が立つのは、同じ記述があちこちのファイルに書かれていることです。それも「〜するには以下の手順に従います。1.***。2.***」といった手順説明とか。原文のライターは一度コピー&ペーストしておしまいかもしれませんが、翻訳する方は全部に同じ訳を入れなければならないのです。Tradosを使うときは、一度訳せば残りはrepetition扱いで、理論上はTMから取得するだけということになっていますが。ヘルプのテキストをモジュール化して、同じ記述は1か所にしか存在しないというようにすれば全体のワード数もずいぶん減ると思うのですが、ローカライズのことを見据えて英語版を製作するというのは無理なんでしょうか。